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2008/07/31

『ハローサマー、グッドバイ』

『ハローサマー、グッドバイ』(マイクル・コーニィ:著 山岸真:訳 河出文庫)
読了。

ここんとこ、冒険小説が読めなくなってきてるかもしれないと感じてきました。もう冒険小説を読んで血をカーッを熱くすることもあまりできなくなってしまっているかもしれないと。
そういった時に、日本冒険小説協会の大人、よしだまさしさんがmixi日記で本書を紹介されているのを読んで、面白そうだなと思って手を出してみました。

SFです。異星を舞台にした、異星人の世界の物語。

アリカ・ドローヴというエルト国の少年。彼の父親は官僚。彼は両親と夏休暇を過ごすために海峡の町、パラークシを訪れます。海峡を挟んだアスタ国とエルトは戦争中。
ドローヴは去年の夏に出会ったブラウンアイズという少女と恋に落ち。

しかし、戦争の影は次第にパラークシを覆い、ドローヴとブラウンアイズの関係にも影を落とします。政府の、役人のやり方に反発するパラークシの人たち。
その対立がだんだんエスカレートしていき、そして…。

(以下少しだけネタバレゾーンにつき)

いや、久しぶりに血がカーッと熱くなる小説でした。イレコミ本でした。

青春小説としても。ドローヴとブラウンアイズの恋、そして初体験。オレにはそんな青春なかったぞ~!コンチクショー!!なんて凡百の小説なら思うんでしょうが、作者の筆力のせいか、そういうのは感じさせなかったです。ふたりの恋の行方をドキドキしながら読んでました。
そして、ドローヴの仲間たちとの交流。私は友達なんていなかったけど、ほんと、そういう青春を持てなかったことを後悔し、口惜しく思っている部分もあるし、ほんとはその機微が解らないのかも知れないけど、でも、それもまた青春小説として楽しめました。

冒険小説的な部分も。パラークシに政府が作った新缶詰工場とそれにまつわる謎、そのために起きる事件、そして、横暴な政府のやり口に高まっていくパラークシの人々の役人達に対する対立感情。血しぶきの祭りの予感。これも目が離せなかったです。こちら方面でもドキドキしてきて目が離せなくなりました。

異星の物語。地球とは違ういろんな設定。舞台となった惑星は寒い星らしく、“夏休暇”と言っても避暑じゃなく、むしろさらに暖かい場所を求めてのようですし。そういう地球と異なる設定も“SF”的なガジェットとして、つまり、ある種の“異国情緒”として読んできましたが。
そして、そういうガジェットに囲まれつつ、中身は普通の青春小説、冒険小説と読み進んでいってましたが。

でも、作品のラストの方、“SF”がグヮ~ッときて、おはなしが悲劇の方へどとーのようにいきつつも、でも、“SF”が救いになり、希望のあるエンディングでありました。
(ここらへんはよしださんの紹介の仕方と同じになるかしら)

いや、グイグイと一気に読めました。ほんと、私はまだ冒険小説が読めるのだなぁと思いましたよ。

本書はサンリオSF文庫で翻訳が出ていたそうです。で、サンリオSF文庫がなくなった時に絶版になって、今回新訳で改めて出されたとか。だから日本冒険小説協会大賞の投票対象にはできないと思いますが…。かえすがえすも残念であります。

本作には続編もあるそうで、それも読みたいなと思います。
『ハローサマー、グッドバイ』、大おススメ本であります。

そういえば本書の表紙にはワンピースを着た人間型のかわいらしい少女が描かれていますが…。ほんとはこういう姿をしてないかもしれないのでわ?

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