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2008/06/29

映像の地下水脈#7

昨日は高円寺のMatching Moleさんへ、かわなかのぶひろ先生の定期上映会、「映像の地下水脈」の第7回を観に行ってきました。

今回のプログラムは、
ゲスト作家として
『夢の触角』(ヤジマチサト士/DV/17分/2008年)
『発見された謎のフィルム』(宮崎淳/16ミリ/15分)
それからかわなか先生作品として
『私小説2』(16ミリ/12分/1988)
『私小説3』(16ミリ/21分/1989)
かわなか先生の今回の新作が
『旅の繪 米子・映画・青春』(DV/27分)
でした。

なお、会場の都合により、フィルム作品もすべてビデオ化しての上映でした。

ヤジマチサト士さんの『夢の触角』。
服や装身具や部屋のクローズアップを多用した映像と、小学生くらいの娘を叱る母親のイラついた声、そして、その叱られてる女の子が大きくなったころの?級友との会話で構成された作品。私はどうも女性のヒステリックな声、というのがえらく苦手で…。姉が私をボコる寸前、普段は優しい母や祖母がブチ切れる寸前、を思い出させて、どうも苦手です。

ヤジマチさんの作品はいくつか拝見していますが。初見が『ワイルドホーシズ』という活劇物、次が題名は失念しましたが、調布の短編映画祭での、自然を撮ったもの、そしてこの『夢の触角』という、家庭内をモチーフにしたもの。色々です。

『ワイルドホーシズ』は腐れ落ちる手が出てきますし、『夢の触角』では、切断された手が崩れ落ちていくイメージシーンがありますし、お好きなようです。

『発見された謎のフィルム』は、旧家から発見された昭和30年代撮影の謎のフィルムというふれこみの作品。
緑に囲まれたお寺さんがモチーフなのですが。フィルムがものすごく痛んだ感じ。ちらちらと人影が現れてきて。

「昭和30年代に撮影された」というのはフェイクです。でも、古びたような傷や褪色の入れ方、見事でした。しかし、どこかその傷や褪色の入れ方、やっぱりほんとの経年変化とはどこか違和感があって。その違和感が面白かったです。その、フェイクに古びたようなフィルムの加工の仕方が、なんていうのか“作品感”がしました。

なんて言えばいいのかな?わざとぼかしたり傷を入れたりした映像作品はいくつもあります。それは「作品としての」演出としてなんだけど。でも、今回は「古いフィルム」というふれこみのための“演出”だったかと。しかしそれがまた味わいを出す作品的な“演出”に立ち返ったと。そのあわいの感覚、面白かったです。

かわなかのぶひろ先生の作品。
旧作の『私小説』シリーズ、今回は2と3。

2までは方向性が定まっていなかったそうで、3から少し長めにしていこうというかたちになったそうです。
記憶のような、夢のような、ぼやけて少しぎこちない感じの風景。日常的な風景、非日常の風景。それが、かわなか先生の絶妙な呼吸でモンタージュされていきます。

そして、今回の新作が『旅の繪 米子・映画・青春』。

かわなか先生が若いころを過ごした米子。その、通いつめた米子の映画館の記憶。そして現在の風景。消えていった映画館たち。が描かれていました。
今回、音楽がMatching Moleの大将がつけていました。作曲までなさっているのかとびっくりでした。

終演後、ちょっとおしゃべり。最終のバスで帰宅しました。

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