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2008/05/06

舞台版『書を捨てよ、町へ出よう』

昨日、5日は『書を捨てよ、町へ出よう』というお芝居を新宿の雑遊というところに見に行きました。
ゴールデンウィーク中行われていた、-IST[イスト]零番館さんプロデュース『テラヤマ博』の1本でした。『テラヤマ博』ってのは、寺山修司のお芝居を何本か集中して公演しようという試み。もともと-IST零番館さんは大阪の劇場のようで、去年は大阪で、今年は東京で、『テラヤマ博』を公演されたようです。

演目はこの東京編だと『狂人教育』『星の王子さま』『書を捨てよ、町へ出よう』『花札伝綺』『レミング』とあったようです。ぜんぶ観たかったのだけど。懐具合とか色々事情があって、いちばん興味を持った『書を捨てよ、町へ出よう』を観てみることにしました。

私の知る限り、寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』という題名の作品は3つあるようです。書籍と舞台と映画。書籍はエッセイ集です。映画版や舞台版とは関係ないようです。映画版は兄と心を病んでいる妹の物語をメインに、オムニバス形式で本筋とは関係のないさまざまなシーンが挟み込まれるという前衛的な構成の映画です。

同性愛者?の同居人募集。ペニスの形のサンドバッグを通行人に殴らせるゲリラ?撮影。「私が娼婦になったなら~♪」と歌いながらセーラー服を脱いでいく少女たち。巨大な仁侠映画の立て看板を背に「健さん愛してる~♪」と歌う男たち。そんなシーンがいろいろと。

舞台版『書を捨てよ、町へ出よう』を見たことはないのですが、また映画とは違うようです。私の拙い知識によると、確か、演劇実験室◎天井棧敷の初期の演目だったかと。「ドキュラマ」(ドキュメント+ドラマ)というキャッチフレーズのお芝居。当時、寺山修司が選者を勤めていた高校生向けの学年誌の投稿者たちを舞台に上げて、自作の詩を朗読させるコーナーがあったそうです。それがきっかけで天井棧敷に入団した方もいらしたようです。

他の天井棧敷のお芝居で『書を捨てよ、町へ出よう』というタイトルのものがあったかどうかは知らないのですが。そういうアドリブタイプのお芝居、きちんとした戯曲があったのかしら?構成台本みたいなのはあったと思いますが。

ちなみに映画版の『書を捨てよ、町へ出よう』は私のお気に入りの寺山映画の一本であります。

さて、今回の『書を捨てよ、町へ出よう』は…

会場の雑遊さんはこじんまりとした場所でした。ひな壇式の、座布団つきの席。席はゆったり目でほっとしました。

今回の『テラヤマ博』は、この雑遊さんとタイニイ・アリスさんで行われていたのですが。
以前、池の下さんの『大山デブ子の犯罪』をタイニイ・アリスさんに観に行った時は、すし詰め状態で体が痛くなって、お芝居どころじゃありませんでした。いや、私がデブなのがいけないんですが。周りのお客さんにもご迷惑をかけてしまったと思いますし。しかし、デブに優しくない『大山デブ子の犯罪』って、ぶつぶつ…

緞帳とかはなく、入場した時点で舞台装置は目に入ります。
舞台中央にバスタブ、舞台奥左右に簡易便器。それから本。たくさんの本が舞台の床に散らばっていて、ところどころに吹き溜まりのような山を作ってます。雑誌から文庫本、普通の単行本まで。

ややあって開演。

開演直後の役者さんたち。衣装はおそろい。男性はテンガロンハットに白いシャツ、照明で色がよく解らなかったけど赤系のズボン?女性は半袖のプルオーバーの上着に白いスカート、包帯でぐるぐる巻きの頭にサングラス姿。包帯は開演直後、解かれていきます。テンガロンハットは大阪万博のころ流行ったもの、70年前後へのオマージュでしょうか。

雰囲気は万有とかのものとは違います。猟奇的、呪術的といったおどろおどろしい空気はありません。明るい感じでした。バスタブも白くぴかぴかで、底に全裸の男を隠しているような雰囲気もないです。ひとことで言えば軽妙、かな?

お芝居はいつもの寺山演劇のように、全体を貫く一本のストーリーはありません。寸劇やレビューで構成されています。抽象劇というか、エッセイ劇のような感じです。

床に散らばる本、その使い方が面白いです。普通に持ち道具として。また、ある時は鳥になったりハートになったり鉄砲になったり、そして、波になったり。

大阪弁で拡声器でがなる女優さんがいました。いかにも大阪っぽい、まるで、じゃりん子チエみたいな感じでした。大阪弁を抜かしても、なんか「大阪っぽい」感じがします。彼女は歌も歌います。

もともと大阪の劇団さんのお芝居だから、大阪弁が出てきます。青森弁を大阪弁に置き換えた寺山芝居、かもしれません。

ダンサーさんがいらっしゃいました。人形振りが見事、そしてダンス。お芝居のいいスパイスだったと思います。

お芝居の最初と最後、寺山修司の詩『ロング・グッドバイ』がモチーフでした。『ロング・グッドバイ』は私のいっとう好きな寺山修司の詩です。だから、嬉しかったです。ところで、やっぱりこの『ロング・グッドバイ』というタイトルは、レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』からとったのでしょうか。

上演時間は1時間ちょっとでした。ちょっと短い感じもしましたが、『テラヤマ博』の1本と考えるとこのくらいがちょうどいいのかな?

ちょっと短い感じがしたけど、面白かったです。楽しかったです。天井棧敷系の「本流な」寺山芝居じゃない、新解釈・独自解釈のお芝居と思いますが、それが新鮮で楽しかったです。
ほんと、他の公演も観られたらよかったのですが…

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