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2008/04/27

映像の地下水脈#6

昨日は高円寺のMatching Moleさんへ、かわなかのぶひろ先生の映像作品上映会、「映像の地下水脈#6」を観てきました。

上映作品は、ゲスト作品として
小松原唯、高島俊宏、高濱智、中地翌佳、守屋徳子
『ドキュメンタリー無力無善寺』(DV/16分/2008)
岩澤実穂
『九十九里浜の女』
『でたら女恋歌』(8ミリ→DV/15分/2008)
佐川佳代
『鬼が笑う』
『続・鬼が笑う』(DV/15分/2008)

かわなかのぶひろ作品として
『私小説』(16ミリ→DV/8分/1987)
『旅の繪4 in N・Y』(8ミリ・16ミリ→DV/2008)
+追悼上映作品
でした。

Matching Moleさんは会場の都合上、8ミリ上映が難しいので、すべてDV版にしての上映です。

『ドキュメンタリー無力無善寺』
私もよく行く高円寺のライブハウス・無力無善寺とその大将の無善法師さんのドキュメンタリー。いや、今回の上映、私もちょっと関わっているのですが。

冒頭のシーン、中央線に乗って、高円寺のガード下を無力無善寺に向かうシーン。ドキュメンタリーとしてはクリシェかと思いますが。ただ、車窓を流れる風景、ガード下を向かう風景、それが私の中の無善寺に向かう風景とはちょっと違うんですよね。車窓を流れる風景なんて、その流れが左右逆だし。違う人の違う視点だとこうなるんだなぁって思いました。

この作品は、無善寺の風景とか、無善法師さんやスタッフさんや出演ミュージシャンさんのインタビューで構成されていますが。
「マスターのひとりっぷりには驚くよ」という発言にはっとさせられました。
無善法師さんはお店ではいつもにぎやかで、時にはフリ○ンになったりします。だから、そういうのは思いも寄らなかったのだけど。芯の部分では孤独、なのだなぁと。

そういう部分において、私は無善法師さんと同類の人間かもしれない。だから、無善法師さんが好きで、無力無善寺が好きなのかもしれない。

上映後、製作者のひとり、高濱さんとかわなか先生のトーク。高濱さんはかわなか先生ときっちりと対峙していらっしゃるようでした。胸をなでおろしました。

岩澤実穂さんの『九十九里浜の女』『でたら女恋歌』。『九十九里浜の女』は何度か拝見している作品です。ただ、今まで拝見したのは、ほとんど画面が暗くて潰れているような感じでした。今回DV化したせいか、画面が明るくて、こっちの方がいい感じでした。
2作品とも、幻想的な物語がモノローグで語られていき、それにイメージが被さるという作品です。

佐川佳代さんの『鬼が笑う』『続・鬼が笑う』。佳代さんの父親と家族のドキュメンタリーです。
『鬼が笑う』は以前にも拝見しています。社交クラブみたいな水商売?をやっていた祖母の残した莫大な遺産を、家族に相談なく相続放棄した父親(「1億ぐらいですか?」と訊いたら、「そんなものじゃない」とか)。父親が腎臓を悪くして、透析を受けることになった、その様子などが描かれているのが『鬼が笑う』。
『続・鬼が笑う』では、佳代さんの姉妹に赤ちゃんが生まれて、デレデレのおじいちゃんになった父親の姿が描かれています。

お父さんが相続放棄した理由のほんとのところは解りませんが、やっぱり人は大金を手にすると“狂う”ものかと思います。ただ、私は、それが解っていても、相続放棄なんかしないと思うし。もし私の父親がそんな事をしたら決して許さず、ずっとグチグチ言い続けていたと思います。でも、作者さんの家族はもうその話には触れず、普通に父親に接している。いいところも悪いところも含めてね、普通の家族。

そして、孫が生まれて、デレデレのおじいちゃんの父親。いや、あまりデレデレするのが恥ずかしいのか、ちょっとツン入ってますが。それがほんとうの“幸せ”かと。

最近、やっと気がついたけど、今や人類最大の敵は「経済」じゃないかしら。そうひしひしと感じます。かつては人が良かれと思い作り上げ、かつては確かに人を幸せにしてきた「経済」。しかし、今や肥大化し、ヒートアップした「経済」は、人を振り回し、人を幸せにするより不幸にしているのではと思います。今や人は「経済の奴隷」。わが国における年間3万人超の自殺者、過労死とか。人は「消費する家畜」と化し、そういう風に「経済」に屠殺されていってる。そうじゃないかと思います。

ホリエモンあたりに、いや、満員電車の中でFXの本か何かを必死こいて読みながら、ちょっとぶつかっただけでキッとこちらを睨みつける野郎にこのお父さんの爪の垢を煎じて飲ませたいと思います。

さて、かわなかのぶひろ先生の作品。

『私小説』は私小説シリーズの第1作目になります。これから上映会ではこの第1作目から順を追って上映していくとか。

『旅の繪4 in N・Y』。今回の新作です。1985年のかわなか先生のアメリカ合衆国上映ツアー。その映像は確か『空の繪』という作品になってます。『空の繪』は抽象的な作品だったと記憶していますが。『旅の繪4 in N・Y』では、行状録的な色合いが濃くなっています。

ニューヨークでの上映会やパーティーの様子、道端の露天や見世物。ダークスーツに黒ネクタイ、絵に描いたようなギャングスタイルのやくざ?茶色い紙袋に入って転がっている酒の空き瓶。バワリーと言えばカート・キャノンでしたっけ。

追悼上映。先般亡くなられた酒場「ホワイト」の主だったミーコさんと、都はるみさんの公私共のパートナーだった中村一好さんの映像。
ミーコさんは酒場シリーズの『ホワイト』の上映。ホワイト常連さんたちのパーティーのミュージシャンさんたちの演奏風景など。
中村一好さんの映像上映前に帰宅しましたが、『熊回帰線』のトークショーの映像だろうと思うのですが…。12時近くて、さすがにくたびれたので帰宅しました。

気になっていたことが、いい感じで実を結んでくれて嬉しかったです。

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