柳家小春二人会
昨日は高円寺の円盤に、日比谷カタンさんがゲスト出演された「柳家小春二人会」に行ってきました。三味線奏者の柳家小春さんが、毎回さまざまなゲストをお呼びして共演される企画のようであります。柳家小春さんが三味線で演奏されるのは俗曲?というジャンルだそうです。
柳家小春さん、もちろんお着物をお召し。紫色に花柄の着物です。
最初が「梅は咲いたか」。今の季節にぴったりの曲。出だしは良く聞きますが、フルコーラスで聞いたというのは初めてでした。鮑くよくよ片想い~♪
そのほか短い曲を何曲か。
それから日比谷カタンさん。時代劇メドレーのあと「ウスロヴノスチの切符切り」、そして「逆牴牾参る」。
それから再び柳家小春さん。新内の「明烏夢泡雪」。日比谷さんの「逆牴牾参る」は17分くらいの曲ですが、こっちはさらに上を行く30分くらいの曲。これでも前半で、通しでやると1時間くらいの曲だとか。
三遊亭あし歌さんの「明烏」を生で拝聴した事が2度ほどありますが。このあとこの堅物の若旦那と、若旦那の筆下しをつとめた相方の花魁は心中してしまうと伺いました。「明烏夢泡雪」は落語の「明烏」の後日談というか、成立からすると落語の「明烏」のほうがあとからできた前日談のようです。
歌詞はほとんど理解できなかったのですが。でも、小春さんの用意してくれた絵解きとか台詞のプリントを拝見すると、(古文もあまり得意ではないですが)どうも若旦那は親まで騙して作った金で花魁のもとへ通いつめてたようです。でもいよいよ金も尽きて、こうなれば死ぬしかない、私が死んだら一度でいいから回向してくれと花魁に頼む若旦那。もちろんそう言われて花魁は若旦那を行かせる訳はなく。愁嘆場。
しかし若旦那は郭の主人に見つかってしまい。男衆にボコボコにされた上にたたき出されます。
このくだりで前半は終り。後半は花魁が木に縛り付けられて。春雨がやがて雪に変ってゆく、と。そこを若旦那が助けに来て。というお話になるそうです。そしてたぶん道行きの場となるのでしょう。
落語の「明烏」の続きがこういう形で聞けたので嬉しかったです。堅物だった分、いったんはまると底なしの若旦那。落語の最後、足を絡めて行かせようとしなかった花魁。前日談として「明烏」は「明烏夢泡雪」のキャラを活かした、ふたりの馴れ初めはこんな感じだったんだろうなぁと思わせるお話であるなぁと思いました。
しかし、堅物過ぎる息子を心配して、町内の遊び人に若旦那を郭に連れて行くように頼んだ父親の胸中、息子に死なれていかばかりか…。落語「明烏」の遊び人の台詞、「親ってのは息子が遊び人でも堅物でも心配するもの」という台詞が思い出されます。
ラストは柳家小春さんと日比谷カタンさんのセッション。日比谷さんの「畸形認メ申ス」のアレンジなど。「畸形認メ申ス」は和風な感じの曲なのでぴったりでした。
いつも思うのだけど。日比谷さんが「畸形認メ申ス」を演奏していると、仕置き人の日比谷さんが、着流し姿で三味線を爪弾きながら悪者の前に現れる景色が浮かんできます。
今回、日比谷さんの演奏はもっと聞きたい感じがしましたが。でも、三味線と対バンという趣向、いい感じがしました。会場には柳家小春さん目当てのおじいちゃんとかおばあちゃんがいらっしゃいましたが、日比谷さんの演奏はどう映ったのでしょうか。
ああでも三味線はいいわ。やっぱりニッポンジンであります。
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