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2008/02/19

寺山修司『悲しき口笛』

という訳で立風書房の「寺山修司エッセンス」第Ⅰ巻『悲しき口笛』、読了。「寺山修司エッセンス」シリーズは寺山修司のエッセイを各巻テーマごとに集めた叢書のようです。『悲しき口笛』は「自伝的エッセイ」を集めたもののようです。奥付を見ると93年の本です。たぶん、寺山修司没後10年を記念しての企画だと思います。

寺山修司はマルチタレントでありましたが。劇作家、映画監督、詩人、歌人、俳人、評論家。でも何より私にとって寺山修司はエッセイストであります。

何度か書いていますが。高校時代、演劇部の部室に転がっていた角川文庫版の戯曲集が寺山修司との出会いでした。「人生はお祭りよ。いつもどこかでお囃子が鳴っている。」という台詞が好きでした。

それから自分で初めて買った寺山修司の本は「さかさま世界史」の『英雄伝』か『怪物伝』のどっちかでした。その、既存の価値観を軽やかに「さかさま」にしていく寺山修司の筆致は、あのころから鬱々としていた私にとって一服の清涼剤でした。

たぶん、テラヤマ的な思考は、私の物の見方のかなりな血肉となっていると思います。

本当に読みでのある本でした。巻末に白石征さんとおっしゃる方のエッセイが収められていました。この方が編者なのでしょうか。ほんと読みでがあるように纏め上げられています。
どうやら白石征さんはhttp://d.hatena.ne.jp/keyword/%C7%F2%C0%D0%C0%ACによると、「寺山修司の本を作るため」に出版社に入った方だそうです。そういう方が編んだ本なのだから、読み応えがあったのだと思うのですが。劇団「遊行舎」の主宰の方であり、寺山修司全集も準備中とか。

今までたくさん寺山修司のエッセイを読んできて。本書を読み進めていくのは面白い感覚でした。「あ、読んだことある」「これは読んだことないなぁ」というのも面白かったんですが、それ以上に「読んだか読んでないかわからない」あわいの感触というのが面白かったです。はっきりと読んだという記憶もないし、初見という記憶もない。そのあわいのふわふわとした感覚です。もちろん同じ素材の同工異曲とかもあるでしょうし。ここらへん、寺山修司のエッセイをたくさん読んできた者にとっての特典かもしれません。

九條映子さん賛歌みたいなおのろけエッセイもあって、新鮮でした。いつも寺山修司はクールな感じがしていたのですが、こういうときは熱くなるのだなぁと。ちょっとほほえましい感じがします。

読み進むのが惜しいような気もしますが。でもまだ全6巻の1巻目。まだたっぷり残ってると思うと嬉しいものです。

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