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2007/12/17

手塚眞8ミリ作品上映会

昨日は渋谷のイメージフォーラムでヴィジュアリスト・手塚眞(http://www.neontetra.co.jp/)さんの8ミリ映画作品上映会を観てきました。
題して『Planet 8-8mmの惑星-』とか。土曜日がAプログラムで昨日の日曜がB・Cプログラム、そのB・Cプログラムを観ました。
手塚眞さん、手塚治虫の息子さんというのがいちばんてっとりばやい説明かしら。

手塚眞さんの作品を始めて拝見したのはだいぶ前のイメージフォーラムフェスティバルだったと記憶しています。作品は『NARAKUE』。「奈落へ」でしょうか。
女性が梯子を伝ってどんどん地下へと降りていく、そして昇っていく映画なんですが。
そして次々といろんな世界を上から下へ、あるいは下から上へ、横切って行くという作品でした。その世界ってのが舞台みたいなセットを横から写した感じで。その淡々と降りていく女性の風情もあいまって、その雰囲気がよかったです。

そして何よりもその主人公役の女性。痩せぎすで手足がひょろ長いのが、いたくツボでした。手塚眞さんの好みであるのでしょうが、私の好みでもあります。

で、それから観たのが今年のイメージフォーラムフェスティバルで上映された『2006』。そのくらいしか観ていないのですが。今回、イメージフォーラムにかかるし、イメージフォーラムで実験映画も、面白そうなプログラムもあったのですが、ずっと観に行けてないし、久しぶりに観に行こうと思って重い腰を上げた次第。

今回、手塚眞さんもお見えになって、手塚さんの解説つきの上映でした。

Bプログラム。まず、手塚さんが登場されて、「8ミリとは何ぞや」の解説。8ミリという指の爪先ほどのコマの映画。35ミリや16ミリ、あるいはビデオより画像がぼやけたり傷が入ったりしやすい、音質も悪い、でもその欠点を逆に演出として利用しているというお話。

確かに8ミリとは不思議なものです。いくつか8ミリの映像作品を拝見していますが、たとえ昨日撮られた8ミリも、なぜか古い映像のように見えます。それはまた記憶の世界のような感触がします。8ミリのぼやけ方と、記憶のぼやけ方と、どこか似ているような感じがします。

『CHAUVE SOURIS』(こうもり)。リーフレットによると1981年の作品とか。7分くらいの短編です。手塚さんの大学生時代の作品。それ以前から8ミリは使っていたそうですが、映像作品としては初めての作品とか。

アパートの一室でしょうか、分厚いゴチックな洋書を読んでいるネグリジェ姿の若い女性。突然ページの間からこうもりが飛び出し、こうもりは吸血鬼となり。吸血鬼はその女性の血を啜るのですが、吸血鬼は顔中に腫れ物ができて苦しみだす、と。ま、吸血鬼は処女の生き血しか吸えないそうですから、処女だと思った女性が処女じゃなくて食中毒をおこしたのでしょうか。そういうジョーク、聞いたことあります。

次が題名を失念してしまいましたが、その半年後の作品だそうです。『CHAUVE SOURIS』が吸血鬼で、その作品は夢魔がテーマのようでした。同じくネグリジェ姿の女性が天蓋つきのベッドでうなされているという作品です。

『CHAUVE SOURIS』の、たぶん、フィルムに直接描かれたと思いますが、開いたページから飛び出すこうもりのイメージ、赤いセロファンがさっとレンズにかけられるイメージ、そして本作の、ぼやけた光の塊のような夢魔のイメージ、個人映画ならではの、8ミリならではの、チープさでありましょうが、いい感じでした。

『CHAUVE SOURIS』は手塚眞さんの父、手塚治虫さんも気に入られた作品とか。父親がいちばん気に入った私の作品ではとトークでおっしゃっていました。

それから手塚眞さんと藤井春日さんのトークコーナー。藤井春日さんはCFカメラマンで写真家さん。手塚眞さんの作品で撮影スタッフとして参加された事もあるそうです。また、元モデルさんだったそうで、別嬪さんでありました。

それから『2006』と『2007』。『2006』はイメージフォーラムフェスティバルで拝見していましたが、それから再編集された版だそうです。再編集、実験映画ではよくあります。

『2006』いよいよ8ミリフィルムが生産終了する、その最後にあたっての集大成という作品だそうです。ダンスシーンがたくさん入ってました。

『2007』。8ミリフィルム生産続行運動のおかげか(私も署名しました)、8ミリフィルム生産続行が決まったのだけど。それからの作品。冒頭、生フィルムの乳白色に映像が浮かんだり消えたりして。これは『2006』の最後の方にもあったのだけど。

工事現場の地下室で暮らす女性と、酒場のポールダンサー、ふたりのシーンが交錯する作品。ラスト、『2007』は「女神と天使」であるとテロップが流れます。私は地下室で暮らす女性を天使、ダンサーを女神と思いましたが。

『2007』にはポールダンスのシーンが出てきます。垂直に立った一本のポールにまとわりつくように踊るダンスですが。ポールにしがみついたまま旗のようになったり、逆さまになったり、凄いです。

それからCプログラム。Cプログラムは『惑星TEトLA』1本。

『惑星TEトLA』は架空の惑星TEトLAの興亡をイメージだけで綴っていく作品だそうです。本作は85年にスタートし、追加撮影と再編集を繰り返しつつ、「同じ形で2度上映されない」という作品だそうです。そういう趣向、大好きです。

オープニングは上映されているスクリーンを背景に、手塚眞さんのご挨拶と解説。

水族館の魚の映像、岩場に打ち寄せる波の映像、ドローイングアニメーション、なんか「ハードボイルド」な酒場のシーン、レトロチックな歌姫のシーン、奇妙なオブジェを着けて蠢くシーンなどなど。

リーフレットによると追加撮影分にはダンスシーンが多いようです。荒波の海をバックに古典インド舞踊でしょうか、ダンサーさんが踊るシーンが印象に残ってます。

手塚眞さんの作品を拝見して。そうですね、出演者は女性が圧倒的に多いです。それも独特の風情を持っているような。女優さんというよりモデルさんというような感じ。荒木経惟の写真のモデルになる女性がアラーキー顔をしているような感じにおいて、手塚顔という感じです。会場にもそんな独特な雰囲気の女性がちらほらしていました。

という方向で久しぶりにイメージフォーラムで実験映画。

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