« 日比谷さんのライブ | トップページ | 地球のっとりパーティー »

2007/11/12

万有公演『螺旋階段』

昨日はお芝居とライブ、ダブルヘッダーでした。
まず、ダブルヘッダー第一試合、演劇実験室◎万有引力(http://www.banyu-inryoku.net/)の『夢のコンタジオン劇 螺旋階段』から。楽日でした。

場所は笹塚ファクトリー。地下にあるスタジオ形式の劇場です。以前にも万有の公演はあったので、迷うことなく、時間も読めてちょうどいい頃合にたどり着きました。

万有のお芝居は客入れ時点で既に役者さんが蠢いていますし、緞帳とか使わないスタイルです。だから、客入れはお客さんが揃ってから一気にという感じ。それも慣れたスタイルです。…っていうか、ほかの劇団のお芝居はほとんど観ないから、これが普通だと思うようになってます。

入場すると舞台の上に女の子がひとり。漆黒のドレス姿。ロリィタというよりはもうちょっと大人びた感じ、また、ロリィタというほどデコラティブでもないシンプルなドレスなんですが。でも、なにかロリィタ系の雰囲気を感じるのですが…。(いやこれは私のロリィタ観じたいが定まってない部分もあります。「黒ロリとゴスロリの違いの解る男」を最近のキャッチフレーズにしておりますが。)生地の風合いとかマッチしててとてもいい雰囲気のドレスなんです。
いや何よりもその衣装が役者さんに、そして場の雰囲気に似合ってるんですよね。それが大切かと。

その女の子はマイクを着けていて、歌はその方がメインのようでした。

お名前は判らないのですが、かわいらしい女の子でした。
彼女は劇の各場面に登場してました。この劇のイコン役だったのでしょう。

今回は“疫病”を軸にしたお話みたいでした。万有のお芝居は(そしてたぶん寺山演劇も)、“ストーリー”というよりは“○×論”というような感じのお芝居であり。また、ストーリーを追う普通の演劇とは違って、ある種の“レビュー”としてその場に展開される場面場面を楽しむという側面があると私は考えています。

疫病に襲われた町、そこから船で脱出することを夢見る男。あるいは疫病にかかり、疫病を考察する男。そういうお話が断片的に積み重ねられ。

ごく低レベルの読解ですが、“疫病”を人みな罹っている現代精神の“病理”の暗喩と解釈することもできる訳で。そうすると箱の中の人のシーンとかよく解ります。いや…。

あと、美術的に面白かったのが、その黒いドレスとか、役者さんの黒い衣装が青っぽい光を浴びると黒が赤っぽくなるところとか。金槌で床に釘を打つシーンがあるのですが、金槌か釘に火打石が仕込んであるのか、火花が散るとか。舞台の前にロウソクが置かれていて、それがいくつかのシーンで点灯されて照明になるとか。

また、いつもの通りのマッチを擦るシーン、そして爆竹を鳴らすシーンもあって。その火薬の匂いがかすかにこちらにも漂ってきます。好きな匂いです。もちろん今回も客席の通路とか役者さんが駆け抜けるのですが。今回も私は通路脇の席に座ってましたが。完全暗転の闇の中、駆け抜ける役者さんの起こす風、そして匂いも、あるいは気配といったものもまた万有劇の興趣であります。

今回、観客を久しぶりに舞台に上げました。

寺山演劇のコンセプトとして、演劇と現実の融合といったものがあると思うのですが。世界自体が舞台、歴史はその舞台で繰り広げられるお芝居。だから、万有のお芝居も緞帳という、お芝居の始まりと終わり、そして舞台と客席を区切るものは使わないし、客入れ時点で役者さんはもう動き回ってるし。カーテンコールもなし。役者さんがはけて(時には残ったまま)客電がついて、お客さんが立ち上がるというかたち。お芝居は始まりもしてないし終わりもしてない。また、舞台客席ところかまわず役者さんが動き回る。そういうことだと解釈しています。
そしてさらにその考えを進めたものが、“劇場”からも抜け出した「市街劇」であると。

その究極の形が観客を舞台に上げるという、“観客”も“役者”にするというところにあると思うのだけど。でもやっぱり“お芝居”とすると難しいですよね。うまくいけばいいけれど、失敗すると白けてしまう。今回は久しぶりに挑戦したと。

私、いちどあるライブでステージに上げられたことがあるけれど。そのときはバナナを食べさせられました。でも、いきなりステージに上げられて、緊張して喉がカラカラ状態だとバナナが飲み込めないんです。なんかいつも気軽に食べてるバナナがねちょねちょした固まりになって喉につかえました。しばらくもたついてしまって、なんとか飲み込んだけど。でもあせった一瞬でしたし、そういうことになるとは思いもよりませんでした。

ま、そういうリスクがあると。観客を舞台に上げると予期せぬ事態になると。

今回もたとえばお客さんがすっ転げて怪我でもしたらとかいうリスクもあったと思うんですが、それにあえて挑戦したと。
そういう意味で気合が入っていたのでしょうか。なんかここしばらくでは最高の万有の“お芝居”でした。

しかしそれ考えると天井棧敷の市街劇『ノック』はお芝居を何も知らされてない人の家に予告状を送りつけて押しかけたり、「ドキュメンタリーを撮ります」と民家にカメラを据えてそこのおじいちゃんおばあちゃんを巻き込んでお芝居したりしてたんだよなぁ。凄いなぁ…。

実は橋本であった万有のお芝居のとき、舞台に上がった経験があります。頭に蛍光塗料を塗った画鋲をお客さんが地図に刺していくというパフォーマンスだったけど。そうしてブラックライトでその地図を照らすと天の川のようなものが浮かび上がりました。決まるととても決まるものです。

いや、閑話休題。

071112 今回物販で万有のCDを購入しました。お芝居と同時予約できるシステムでした。まだ開けてないんですが、2枚組み・61曲入りのようです。
画像を見てお分かりになるとおり、J・A・シーザーのサイン入りです。あと、今回の特典として右の『螺旋階段』デモCDがおまけについてます。チケット代と同時にCD代はちょっと痛かったけど、入手できてうれしいです。

さて、笹塚から今度はバスに乗って渋谷へ。

|

« 日比谷さんのライブ | トップページ | 地球のっとりパーティー »

コメント

今回の「螺旋階段」は本当に面白かったですね!
完全暗転のまま、劇がしばらく続いたりして
「盲人書簡」とかを思い出したり。暗闇での劇、好きです。
あの鞄を持った女の子は大島さんですよぅ。
今回はほとんど台詞ありませんでしたね。
次回は沢山聞けたら良いのにな。
音楽も素敵でしたね!全曲CDに入らないかしら。
あ、私の買ったCDのサインの色は銀色でした。
金色もあったのですね。2色展開していたのか(笑)

投稿: なつみ | 2007/11/16 12:39

◎なつみ様
大島睦子さんでしたか。ほんとにいい感じの少女役でした。
万有はほんと、闇の魅力であります。笹塚ファクトリーはほぼ完全に闇にできるから、いい場所ですね。

シーザーさんのサインだけど、マジックが生乾きのままセットしたみたいで、ケースにパンフレットが貼り付いてました。強引に剥がしたらサインもちょっと剥がれちゃいました。少々残念であります。

投稿: BUFF | 2007/11/19 12:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92510/17047943

この記事へのトラックバック一覧です: 万有公演『螺旋階段』:

« 日比谷さんのライブ | トップページ | 地球のっとりパーティー »