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2007/09/19

『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』

『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(福田ますみ:著 新潮社:刊)
読了。

“モンスターペアレント”なる言葉があるそうです。ウィキペディアによると「学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者を意味する和製英語」だそうです。
ネットでいろいろ調べ物をしていて“モンスターペアレント”なる言葉に出会い、興味を持っていろいろ調べていたらウィキペディア等で本書の存在を知り、読んでみました。故郷に近いところで起きた事件だったし。

本書はそのモンスターペアレントによる担任教師による児童いじめ事件の“でっちあげ”とその顛末を被害に遭った教師の視点から小説形式で描いたルポルタージュであります。

本書の前半部分はほんと、読んでいて息が詰まるような感じがしました。自分の子供が担任教師にいじめられているとネジこむ両親、それに対して事なかれ主義、日本的な「とりあえず謝っとけ」的な対処法で対処する学校側、それに増長していじめ被害の訴えをエスカレートさせる両親。

物事が悪いほう悪いほうへと転がっていく様子、ほんと、読んでいてつらいです。だから、飛ばして読みました。こういう理由で飛ばして読む経験は久しぶりです。

それに「教師によるいじめ」という“物語”に安易に飛びつくマスコミ、さらに増長するモンスターペアレント、事なかれ主義と保身で担任教師を見捨てる校長・教頭、そして教育委員会、孤立してしまった担任教師。モンスターペアレントは「教師によるいじめ」という“物語”に飛びついてしまった“人権派”の弁護士550人をもって、担任教師を潰すべく民事訴訟に舞台を移す。孤立無援の状態で反撃を決心した担任教師。

後半になるとモンスターペアレント側のウソがだんだん暴かれていきます。ここらへんになると「次はどうなるんだ?」と読むピッチが上がります。

という方向でかなり早く読み終えました。ほんと、こういう一気本はチトつらいです。

本書は物語り形式で書かれています。う~ん、私は、さらに深い分析が知りたいです。「なぜ、モンスターペアレントが生まれてしまったか?」あるいは、「モンスターペアレントに遭遇してしまったらどう対処すればいいか?」ということを考えます。

その生まれた原因、やっぱり現代人のブクブクに肥大した自意識のせいかしらと思います。自分が世界の中心で、世界は自分のためにあると勘違いしている連中かと。いや、「自分が世界の中心で、世界は自分のためにある」という考えがもう無意識レベルまでしみこんでいて、もう意識にものぼってこずに、超ナチュラルに自分の思考パターンになっているという連中かと。

やっぱりそれは地縁血縁といったものから遊離して、そのおかげで自意識をブクブクに膨らませた、バケモノと化した人の姿かと。彼らのセカイには、自分たちしかいないのだろうと。世界とぶつかって、自意識を削り、自意識にかたちを与えるという経験をほとんど持てず、ただ野放図に、かたちを持てずに、ただ闇雲にブクブクに膨らみきった自意識を持っている連中かと。

ま、彼らもエコノミカル・コレクトな、つまり消費社会には望ましい人間、“消費者”なのでしょう。CMはいつもブラウン管越しに(いや、今なら液晶パネル越しの場合も多いか)語りかけてきます。「特別なあなたに、特別なこの商品を」ってね。そして「特別な自分」と思っているそういう連中はそのCMに飛びつき、商品を買い求める、と。
また、そういう社会から遊離してしまった連中は、今まで社会が与えてくれてきた自我の安定も持てず、消費活動に自我の安定を求める割合が大きいでしょうし。

本書に出てくるモンスターペアレントの母親は、アメリカ人の血が入った帰国子女とうそぶいています。それはウソなんだけど。「特別な自分」を演出するためのでっちあげ。たぶん、その母親の自我は、そういうウソに酔っている部分と、それに後ろめたさを感じている部分とが激しく葛藤している状態だったのじゃないかしら?

その自己矛盾を抱え込んだせいで自我が崩壊しかかっていたのではないかしら?(だから子供も母親の不安定な自我に影響を受けて粗暴になってしまってるようです)で、自我が崩壊しそうなとき、「わが子が教師にいじめられている」という“物語”に飛びついて、崩壊しそうな内面を外面に、その教師への徹底的な攻撃にすりかえたのじゃないかなと思うんだけど。だから、その、いじめの原因が「アメリカ人の穢れた血」ということにされて。それは「アメリカ人の血が流れている」というウソの後ろめたさの裏返しで。
そして、その葛藤の激しさから、その教師への攻撃は執拗を極めて。でも、その執拗さが数々の“でっちあげ”を生み、そこを突かれてウソが崩壊していったと。自滅していったと。

そういう事じゃないかと思いますが。
そういう解かったような分析がいちばんいけないと思いますが…。

「特別な自分」になりたいなら、いっしょうけんめい努力して、そして自分の“実力”で、自分がなりたい「特別な自分」になればいいのに。
そして、それがかなわなかったら自分の分際をわきまえて生きていけばいいのに。
自分をウソとハッタリで塗り固めて生きていかなくてもいいのに。
「あるがままの自分」を受け入れて生きていければいいのに。
それができないんだよね…。

そういう部分も、読んでいて辛かったです。ただ、やっぱり、こういう連中とは係わり合いになりたくないけど。

ま、これは教育現場の話だけど。私は子供を持つことはもうないだろうと思うから、“モンスターペアレント”に遭遇することはないと思うけど。(いや、ちょっとしたきっかけで、そういった連中から変質者呼ばわりされる可能性はあるかもしれないけど)

ただ、こういう、“ブクブク自意識”を持った連中に遭遇して、振り回される可能性はあると思います。だいたい私自身、“ブクブク自意識”の持ち主でありますし。心も体もメタボリックであります。

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