『ホラー映画ベスト10殺人事件』
『ホラー映画ベスト10殺人事件』(友成純一:著 光文社文庫)
読了。
主人公のホラー&スプラッタ映画評論家・庄内良輔の周辺で、彼が雑誌に書いたホラー映画ベスト10に見立てた連続殺人事件が起きる。そういうお話です。
友成純一はホラー小説家というより、人体破壊フェチというのかな、そういう感じの作品をたくさん書いていらっしゃるようです。
最初に読んだのが『獣儀式』。この世と地獄との境界が壊れ、もともとは亡者を責めさいなむ役目だった鬼達が人間に襲い掛かるという趣向の小説だったと記憶しています。その、人体破壊シーン、ゾゾ毛を逆立てながら読みました。
それから時々友成純一の小説は読んでます。
どうもあたしのダークサイドにビンビン来るようです。
ただ、最後まで読めたのも、途中で投げ出したのもありますが。
本書は、まぁ、さくっと読めました。ちょいと軽め、かな。
『獣儀式』にあったような、鬼に串刺しにされる女子高生が、ヴァ○ナに杭の先端が挿し込まれそうになるのを、ア○ルにもってこようとして必死にもがくような、黒笑ここに極まれり、というようなシーンはありません。ただ、その肉体破壊シーンがどこかあっけらかんとした感じがするのが、そのあっけらかんさが、友成純一のタッチではないかと。子供がバッタの足をあっけらかんともぐような。そこがホラーとはちょっと違う気がします。スプラッタではあるのかな?
美少女をじっくりとねちっこく解体するシーンとかあったらなぁとか思いましたけど。でも、美少女じゃなきゃヤダってのは、やっぱり私ってまだまだレベルが低いのかな?
筒井康隆の『問題外科』みたいなのがほんとは読みたいんですが。ていうか、あれで私の中のある属性が目覚めたと思います。
出てくる場所がおなじみのところが多かったのが面白かったです。
映画配給会社の試写室のある銀座~京橋界隈、新宿2丁目から3丁目、そしてゴールデン街界隈とか。庄内の住む茗荷谷界隈も、私が学生時代に住んでいたところに近いので、どこらへんかなぁとか思いながら読みました。
軽めなおかげで、ここんとこ小説を読むのに困難を感じていた私でもさくっと面白く読めました。まぁほんと、私ってホラー映画とかスプラッタ映画は苦手だけど、こういうのは読むし、沙村広明の美少女肉体破壊画集『人でなしの恋』を喜んで買うってのもちょっと変な気もします。イメージなら好きだけど、映画みたいにリアルで生々しいのは苦手って事かな?
ところで、あの、試写室もぐりこみテクニックってほんとに可能なんでしょうか?いや、タダ見なんかせずに、自腹切らないと、ほんとうに面白がったり、つまらながったりできないと思いますけど…。
しかし、ほんと、面白本を読みたいよ…。
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