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2007/07/12

復讐はお好き?

『復讐はお好き?』(カール・ハイアセン:著 田村義進:訳 文春文庫:刊)
読了。冒険小説は久々です。小説も『電脳コイル1』以来。
日本冒険小説協会会員としてお恥ずかしい。

カール・ハイアセンは好きな作家です。コミカルな冒険小説、楽しいです。ただ、打率100パーセント、店頭で見つけたら即買い!ではないのですが…。読みさしで放り出した小説もありますし。前回の日本冒険小説協会大賞の投票を済ませてから、「あ、ハイアセンの新作読んでない!」と気がついてあわあわしたりしましたから。
つまり、おととし出た「ロックンロール・ウィドー」はとても楽しく読みましたが、去年出た「幸運は誰に?(上・下)」は未読です。おぉ!「幸運は誰に?」の表紙は喜国雅彦なんだぁ…。

さて、『復讐はお好き?』は。

ジョーイ、彼女は豪華客船でのクルーズの最中、夫のチャズに海に投げ込まれます。九死に一生を助けたのは、元・刑事で、今は世捨て人の暮らしを送っているミック。
しかし、ジョーイには夫が自分を殺す心当たりがない。ジョーイの莫大な財産は遺産としてチャズ自身には行かないことをチャズは知っているし、チャズに保険をかけられた記憶もない、離婚はフロリダなら簡単だし、莫大な慰謝料を取られる心配もチャズにはない。

ジョーイは警察には届けず、ミックたちの手を借りて、チャズへの復讐を果たそうとします。
その復讐の行方は?そして、チャズがミックを殺そうとした理由は?というお話です。

(以下ネタばれゾーンにつき)

いや、楽しく読めました。

ジョーイが怒りのあまり、自分が生きているのをチャズに気づかれそうなことをしてしまうのにハラハラ。つうか、ジョーイが生きている可能性を考えないチャズがちょっと間抜け過ぎかも。

ハイアセンの小説にはヒト癖もフタ癖もあるキャラ立ちまくった人物が出てくるのですが。
今回印象的だったのはトゥール。毛むくじゃらの大男。悪いモンの用心棒、荒っぽい奴なんですが。昔のタマ傷の痛みを鎮めるため、鎮痛剤を盗みに忍び込んだ病院で末期癌のおばあさんに出会い、情を通じていきます。そして、人としての誇りに目覚めて。

お話ぜんたいとして面白かったのは、いろんなヤツが撃った銃がぜんぶ急所を外すってネタ。相手の急所に狙いをつけたまま引き金を引ききるというのはとても難しいのでしょう。l『戦争における「人殺し」の心理学』(デーブ・グロスマン ちくま学芸文庫)にもあるごとく、目視できる相手を、相手を人間と認識できている人間を殺すってのは、訓練された兵士でも極めて心理的抵抗の高い行為であるようです。こういう部分に妙にリアルな生々しさを感じたり。(『戦争における~』は大おススメ本でありますよ)

カール・ハイアセンはだいたいの作品がフロリダを舞台にしています。で、ある作品に出た脇役キャラが他の作品にも出演したりしているのですが。その、作品をまたいで出演する脇役キャラって趣向は、スティーブン・ハンターとの共通点でもあります。ただ、私は読み込んでないので、あまり気がつきませんが。
今回のシリーズキャラで気がついたのは、あの、隻眼の元・市長さんであります。ただし、ちょち電波系の部分が強めに描かれているのが残念です。

『復讐はお好き?』楽しかったです。ただ、初めてハイアセンを読むって人には、『大魚の一撃』『珍獣遊園地』『虚しき楽園』『ストリップ・ティーズ』あたりがおススメかなぁ。

ああしかし、「脇役が魅力的な小説には面白本が多い」ですな。

ここんとこ、あたし、もう、小説がもう読めなくなったんじゃないかと感じていましたが、なんとなくリハビリになりました。

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