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2007/05/09

恋の羊が海いっぱい

話は前後しますが。

4月27日、京橋のフィルムセンターに黒木和雄監督の『恋の羊が海いっぱい』『わが愛北海道』『日本発見シリーズ 群馬県』の3本立てを観に行きました。
『恋の羊が海いっぱい』の劇中歌を寺山修司が作詞しているというのが観に行ったきっかけです。

3本とも劇映画ではなく、PR映画やドキュメンタリーです。
フィルムセンターによる作品解説は
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2007-04-05/kaisetsu_20.html
です。

『恋の羊が海いっぱい』。1961年の作品。羊毛振興会?の羊毛PR映画。「ウールの服ができるまで」とか「羊毛はここが優れている」というような事を紹介した映画でも、ドラマ的なつくり、例えば、「冬山で遭難したけれどウールの服で助かった」というような感じのPR映画でもありません。イメージPR映画です。

冒頭、草原を走る女の子。BGMがちょっとだけ不安感を感じさせるので、なんか逃げてるような、あるいは急を告げに走ってるような、そんな感じがちょっとしますが。まさかPR映画でそんな事はなく、羊牧場で働く恋人のもとへ向かう途中、でした。牧場のシーンとか、仕立て屋さんのお針子さんたちのシーンとか、スタジオのイメージシーンとか。歌と踊りも取り混ぜて。
羊毛を刈るシーンで、電気バリカンじゃなくて、でっかい鋏を使うのが印象的でした。当時は電気バリカンが普及してなかったんでしょうか、それとも演出上、わざと使ったのでしょうか。

お目当ての寺山修司作詞の歌のシーン。女の子が歌う歌。「((劇中の)私の恋のお話は)みんな嘘」みたいな、さすが寺山修司っぽい、虚実のあいだをくぐるようなメタな歌詞です。

それから『わが愛北海道』。1962年の作品。北海道のPR映画でしょうか。北海道の産業、漁業や農業、炭鉱、そして製鉄などの工業が紹介されていきます。
ナレーション方式なんですが。冒頭、ナレーター役が登場します。本土から海を渡ってやってきた産業コンサルタント、という役どころです。着任したばかりの彼が北海道のいろいろな産業を見て回り、紹介する、という半分ドラマ仕立ての趣向です。

女性が途中から登場します。背の高い、すらっとした感じだけど、どこか“つよさ”も感じる、個性派美人的な女性です。確かに北海道を象徴するっぽいですが。
なんかうだうだと「彼女は北海道の象徴だ」と賞賛する語りが続きますが。「要は惚れたって事だろう!」っと思わずツッコミを入れたくなったりします。彼女は長靴工場に勤めています。確かに長靴って北海道っぽいグッズのような気がします。
そのあとちらちらと彼女の姿が挿入されます。「北海道」のイコンとして。

フィルムセンターによる解説を読むと、黒木監督の構想によれば、冒頭、ニシン御殿で彼女の全裸のラブシーンがあったみたいで、撮っていたそうですが。会社側から真っ先に切られたそうです。それも見たかったです。しかし62年のPRドキュメンタリー映画で全裸ラブシーンを入れようとするという発想は凄いと思います。2007年でもそういう発想は難しいと思います。

当時は大振りの漁船も木造が当たり前みたいですが。
画面の木造漁船を見ていると、新木場で展示されている第五福竜丸をちょっと思い出しました。

そして『日本発見シリーズ 群馬県』。1962年の作品。他の2作品はカラーですが、本作はモノクロです。群馬県の産業PR映画です。

草津温泉の紹介から始まって。(草津温泉が群馬県にあるって知りませんでした)
地場産業の絹織物の紹介、新興産業の工場の紹介、そして、文化振興として地元のオーケストラの紹介。
ある工場の従業員の平均年齢が17歳代でした。つまり、中卒で働くのが当たり前の時代。“ニート”なんて言葉はカゲもカタチもなかった時代。

お目当ての『恋の羊が海いっぱい』以外も楽しめました。ほんと、“あの頃”。日本が高度経済成長目指して突っ走っていた頃のオハナシでした。

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