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2007/04/30

イメージフォーラムフェスティバル2

昨日もイメージフォーラムフェスティバルへ。P、N、B、Iの4プログラム。12時から9時近くまで、さすがにへばりました。
脳みそがさまざまなイメージの断片でウニ状態です。でもそれが結構気持ちよかったりして。

気になった作品を何本か。

Pプログラムは「クリティカル・ディスタンス」として、ドキュメンタリー風実験映画。えと、“風”と書いたのは、普通のドキュメンタリーみたいに観客になにかを「説明する」-ナレーションをいっぱい入れたり-するような作品では必ずしもないという感じだから。

『適者生存』(オリヴァー・レスラー/ビデオ/23分/2006/オーストリア)
対テロまで業務に入ってるような警備保障会社?の一般人向けの?対テロセミナーの様子かなぁ。トリアージの講義で実際の負傷者の血まみれの写真まで使ってるみたい。“トリアージ”ってのは天災や人災において、負傷者の搬送や医者に見せる優先順位を決める作業なんだけど。「助からない」負傷者を判定し、見捨てる行為も含まれます。
野外実習なんか、銃を携えたテロリスト役がいたり、模擬爆弾を破裂させたりしてます。
講習を受けているのは危険地帯に行かなきゃ行けないサラリーマンとかみたい、大変です。
「資本主義は勝つ」というテロップが入ったり。そりゃ、共産主義には勝ったかも知れんけど、どっかの頭のイイ人が頭の中でこねくり回しただけのユートピア論、百年も歴史を持てなかった共産主義には勝てたかもしれないけど、数百年のタイムプルーフを受けたイスラム教をバックボーンに持つイスラム過激派には勝てるんでしょうか?

『同封すること』(ネスリン・コドゥル/ビデオ/22分/2004/レバノン)
作者がレバノン人ですから、たぶん、レバノンの人たちなんでしょうか。アムステルダムから南仏まで旅行する、車窓風景。レバノン人は移動が制限されているようで、オランダから出国する際、「不法滞在だ」という会話が入ります。
大きな湾岸道路?を見ながら、「ここを爆破するとすごいだろうなぁ」とか、無邪気な会話が入り。その前に上映された『適者生存』と好一対です。

『記念日』(リュウ・ウェイ/ビデオ/13分/2005/中国)
6月4日。北京大学の学生たちや街の人たちに「今日は何の日ですか?」と訊いて回るという作品。6月4日、天安門事件の日なんだけど。
学生たちはほとんどが「知ってるけど、答えられない。」と言います。それにしつこく食い下がったりして。
う~ん、ちょっと作者に腹が立ちました。お上に従って、波風立たせずに生きていくというのもひとつの生き方だと思います。それがいいことか悪いことかは解らないけど。それをわざと突っつくというのも。なんていうのか、作者の「上からの視点」な感じがします。

だいたい“市民革命”、庶民が起こす革命というのは、政治的正義を求めて起きるものじゃなくて、政府や“体制”側の搾取に耐えられないほど困窮した庶民が反旗を翻すというかたちで起きるんじゃないかしら?
それをわざわざ突っついて回り、これ見よがしに晒すというスタイルはあまり好きじゃありません。

Nプログラムは「ブリティッシュ・アニメーション・リンク」とか。基本的にアニメーションみたいですが、実写物も、あるいは実写とアニメの合成とかもあります。ラストに“Animate!”クレジットされるから、ある基金の支援のもとに作られた作品群、のようであります。

『鼻から口へ』(コヤマ・ジョージ/ビデオ/19分/2006)

日本人の?女の子をモチーフに撮られた作品。モデル系の個性派美人です。実写作品です。
鼻で笛を吹いたり、鼻からストローで牛乳を飲んだり。フィギュアスケートを習っていて、その先生がこけるのを見て、鼻から飲んだ牛乳を口から吹いたり。普通は口から飲んだ牛乳を鼻から吹くものですが。

お次がBプログラム、「日本2」日本招待作品+一般公募作品とか。

『Kaizer』(田中廣太郎/ビデオ/11分/2006)
花見時のにぎわう公園。カメラはゆっくり回りながら周りの景色を映していくんだけど。
その、回転速度は一定なのに、なぜか人物はストップモーションしたり、逆まわしになったりします。どうやって撮ったのか不思議な作品でした。

『空(から)の箱』(祢津悠紀/ビデオ/38分/2006)
一般公募部門奨励賞受賞作です。ひとり暮らす若い男の生活を淡々と描いた作品。
何にもない1日。何か事件が起こるでもなく、誰かが訪ねてくるでもなく。洗濯をし、飯を造って食い、風呂に入り、というありふれたひとりの淡々とした1日。あたしもそう過ごしてしまいそうな。いくらでも退屈な、冗長な作品になってしまいそうなモチーフですが。それを作品として描ききってるというところがすごいです。さすがに3プログラム目できつかったんですが、私も居眠りしなかったし。

ここらへんはかわなかのぶひろ先生の作品にも通じるかなぁ。日常的な風景の断片を積み重ねながら、観客に飽きさせない。劇映画みたいにハラハラドキドキのストーリー展開があるわけじゃなく、ドンパチがあるわけじゃなく、事件が起きるわけじゃなく、キレイな男優女優が出るわけじゃなく、非日常的な景色がでるわけじゃなく、Hシーンがあるわけじゃなく。
たぶん、作品の“呼吸”とでも呼ぶべきものが絶妙なのではないかと。

『生態系15-秤動』(小池照男/ビデオ/17分/2006)
映画を始め、“動画”ってのは、ちょっとづつ違った画を映して、視覚の残像現象を利用して、動いているように感じさせる、っていうシステムでありますが。
本作は1コマ1コマ違う画を連続してダァーっと映写するという作品です。ただ、それなのに、不思議に「動いてる感」がする部分もあって。

『蛆虫の飛ぶとき』(村上康人/ビデオ/20分/2007)
本作が一般公募部門大賞です。セルフ・ドキュメンタリーになるのかな。
作者は二十歳くらいの方。どうも家族らからも周りの人間からも孤立してしまう性格のようで。大晦日、自分の部屋でひとり、カウントダウンのラジオを聞きながらカップ麺のそばをすする様子とか、成人式、賑やかな周りから離れて、ひとりぽつねんと“壁の花”と化している様子とかが描かれます。そして、父親や母親、家族へのインタビュー。

あたしも孤立してしまう性格だから、シンパシーは感じました。ただ、村上さんには彼女がいるみたいで。あたしも、あたしのそばにいて、あたしの存在を認めてくれる、受け入れてくれる人が欲しいですが。うらやましいなぁと。いや、やり直しのきかない中年ですが、あたし。

そしてIプログラム。『ホッテントットエプロン-スケッチ-』1本。

『ホッテントットエプロン-スケッチ-』(七里圭/ビデオ/70分/2006)
「ホッテントット」は差別的な用語だそうで、今は『コイコイ人』と呼ばないとポリティカル・コレクトではないようですが。
彼らには、女性のインナーラビア(小陰唇)を人工的に伸ばす風習があるそうです。で、その、大きくされたラビアを「ホッテントットのエプロン」と呼ぶそうです。下唇に木の円盤をはめ込んで大きくしたり、首に金属のわっかをはめて長くしたり、あるいはタトゥーとか、傷跡で模様を描くスカリフィケーション、あるいは割礼とか、プリミティブなボディ・カスタマイズですね。
それらは身体装飾であると同時に、痛みを伴う行為であり、ある種の成人への通過儀礼であるかと思うのだけど。

主人公は若い女性。隠れた場所、下腹?に醜いあざを持っている、と。彼女は恋人ができて、それを見られることになるのだけど。あざは見られたくない、その心の迷い。ある日、彼女はネズミ男みたいに頭からフードを被ったクラリネット吹きに出会う。そして、彼を媒介に、彼女は彼女の内面世界をさまよっていく、というお話。

彼女のあざ。あざを見せたくないと彼女は恋人を受け入れることを恐れるのですが。逆に、先に、彼を受け入れたくない、恋すると同時に犯される事への恐怖があって、それがあざを見せたくないという気持ちに転嫁されているのではないかしら。

少女にとっては、自分の“性”と向き合うことは、恐怖でもあるのではないかと思います。
以前、ある好きなミュージシャンが出演するというので、フェミニスト系のイベントに行ったことがあります。そこで、自分の“性”と向き合おうというお話があって。裸になって、自分の体を鏡に映しながら、自分で触れてみよう。自分の性器も鏡に映して、よく見てあげて、触れてみよう。そして、自分の体、自分の性器を可愛がってあげよう、というお話があって。

確かに、女の子の性器は鏡でも使わないと自分では良く見えないし、どういう風になってるのか解らないまま、コンプレックスを抱いたり。また、Hする時は、自分でもよく解ってない場所を恋人に触られ、あまつさえペニスを挿入され、つまり、体の中に異物を押し込まれ、そして、異物である精液を流し込まれ、そして、究極の“異物”である胎児を身ごもったりするわけです。

私は男ですが、小さいころ、注射が大嫌いでした。予防接種のとき、幼稚園中逃げ回って、挙句、幼稚園の先生や看護婦さんに取り押さえられ、無理やり注射されたことがあります。それは痛いことの恐怖とともに、体に異物を挿れられることへの恐怖があったと思います。あのころは妙に潔癖症で、飲み物の回し飲みとかもできませんでしたから。だから、その部分、ちょっとは解ります。

球体関節人形が劇中、大きな存在であります。ラストのクレジットを見てハタと膝を叩いたのですが、清水真理さんの作品でした。ちょっと変わった構造で。胸が乳房の下から胴体をはめ込む構造になってました。まぁ、構造的に動かしやすいというのもあるんでしょうが、また、乳房から下が切れ目になっていて、乳房-女性性-を強調するという演出もあったのではと思います。

いや、清水真理さんは映像作品も作っていらっしゃるし、ヲ人形も映像栄え、舞台栄えするなぁと思いました。

という訳で、さすが4プログラムはきつかったです。しかし今日も4プログラムの予定です。
フリーパス券の元とっちゃる!

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