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2006/09/03

死体とご遺体

『死体とご遺体-夫婦(めおと)湯灌師と4000体の出会い-』(熊田紺也:著 平凡社新書)
読了。

湯灌とは、葬儀の前に遺体を沐浴させ、洗い清めることだそうです。
本書の著者はもともとはCM制作会社の社長さん、しかし、会社は倒産し、家屋敷を手放しても莫大な借金が残り、いくつかの職を転々としてから、借金返済のために湯灌業を始めた方だそうです。
湯灌業を始めたのは著者49歳の時、10年ちょっとのキャリアの方のようです。
著者の奥さんも湯灌を終えたあとのご遺体のメーキャップ係として、夫婦で湯灌業を営まれているそうです。
その、著者の、湯灌業を始めるきっかけとか、湯灌業とはどういうものなのかとか、思い出に残る湯灌の現場とかを書いた本です。

現代、死を必死になって隠している時代。「死と付き合う知恵」を失った時代だと思います。
「死と付き合う知恵」の最大たる宗教も希薄となって。

現代社会、消費主義社会、そういう時代に宗教は邪魔者でしかなくて。たとえば、どの宗教でも持ってる貪欲への戒めとか、邪魔なものでしかなくて。また、宗教を否定し、心の支えを失った現代人。その失った心の支えの代用として、消費活動があるのではないかと思います。ストレス買いとかありますもの。ブランド信仰もそういう事から生まれたものかと思います。

新興宗教にはまっている人に人々がなんとなく反感を持つのも、現代人が消費社会にずっぽりとはまっている、その状態とは違う人たちだから、なんとなく敵意を持つんじゃないかと思います。

しかし、死と付き合う、死を受け入れる術を、そのせいで現代人は失っていて。死は隠蔽されるものとなり、そして、健康ブーム、健康グッズ大はやりかと。健康ネタの消費財。消費社会の典型。

しかし、いやおうでも死と向き合わなければいけないのは葬儀の時。その、死と向き合わなければならない現場に立つ葬儀関係の人たち、大変だと思います。ふだん死を受け入れる術を持たない人たちの相手をしなきゃいけないのですから。

私は死は隣にあるものと思ってますが。東京都民1300万人なら、1300万の死、日本人口1億3000万なら1億3000万の死、地球人口が60億なら60億の死があり。
ま、そう思ってますが、心の底から思い知ってるかどうかは自信がありません。

で、湯灌師の著者も、その葬儀の一員として、湯灌を行いつつ、遺族の方々の心を癒す、そういう自負を持ってお仕事をされているようです。
その著者の姿勢、とても尊敬します。現代人にとって最大のタブーの現場に自ら飛び込んでいく、すごいです。

私はできるかなぁ。そういう仕事をある種の“穢れた”仕事としてタブー視することは絶対すまいと思いますが。でも、じっさい目の前に死体があって、それを扱わないといけないとなると、たじろぐのではと思います。でも、できるような人物になりたいと思います。

ちなみに湯灌サービス、葬儀のオプション扱いで10万から20万が相場。で、著者ご夫婦の取り分がその5割から6割だそうです。下世話な話ですが、それで10年間に4千体となるとトータルで億の稼ぎになるようですが。稼げる個人営業としてはトップクラスだと思います。でもやっぱりそれは、現代人がもっとも隠蔽している現場に立つものとしては当然の事かなぁとか思ったり。

しかしやっぱり「死んでいく地獄の沙汰はともかくも後の始末は金次第なり」と思います。
もちろん、葬儀というのは、出せる範囲で、最大限に遺族の心が落ち着くようなものにすべきだと思いますが。

あ、あたしはいいです。そんなのまでして貰わなくても。そこまでしてもらうのに見合う人間ではないし。
そうですね、あたしの葬式なら、棺おけは物置に転がってる古い漬物樽で十分、抹香の替わりにおがくずでも詰めて、荒縄で縛った上に天秤棒をいっぽん差して、差し担いにして出してもらえばじゅうぶんです。
いや、あたしの入った棺おけ、ふたりで担ぐのは大変かなぁ。

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