大草原の渡り鳥
昨日、耳の調子がちょっと良くなってきたみたいなので、フィルムセンターへ『大草原の渡り鳥』を観に行ってきました。1960年度作品、小林旭主演「渡り鳥」シリーズ第6作とか。
日本映画データベースによる、スタッフ&キャスト表はこちら。
“マカロニ・ウェスタン”ならぬ、いわゆる“ナベヤキ・ウェスタン”な作品。
亡き親友の遺児の、別れた母親を探す小林旭。帯広にやってきた彼は、アイヌの人たちの土地を奪ってレジャーランドにしようとする地元のヤクザと対決するというお話です。
映画が娯楽の王様だった頃の日本映画を観るのが好きです。
お客さんを楽しませようとするサービス精神が目いっぱい伝わってきます。
ギター抱えて馬に乗って登場する小林旭、60年の日本でもありえないですが。うん、かっちょいいです。リアリティ無視でエンターティメント空間を創る、その精神が好きです。
ただ、やっぱり泥臭い部分も感じられて、その泥臭さも含めて、好きです。
宍戸錠もかっちょいいし。どこか飄々としていてかっちょ良く、敵方につくんだけど、自分の正義に従って小林旭の味方につく、その姿もいいし。やっぱり私は主人公の小林旭より宍戸錠にイレコむタイプであります。
まぁほんと、現代のアクション映画と比べれば牧歌的ではあります。人死にが出るのはクライマックスシーンだけだし、弾着、あの火薬で服に穴が開いて血しぶきが飛び出す特殊効果以前の作品で、銃撃戦でも撃たれた人はただ撃たれた演技をするだけだし。冒頭から死人が出たり流血したり、撃たれた人が派手に血しぶきを飛ばしながら吹っ飛んだりしません。そういう血なまぐさい現代のアクション物と比べれば、やっぱり牧歌的な、逆に言えば食い足りない感じがしますが、それはそれで好きです。通貨、やっぱり暴力的表現に飢えているのかなぁ、私って。
客席はやっぱりお年寄りが多くて、小林旭や宍戸錠の気障ったらしいシーンで笑い声なんかあがっていました。ほんと、泥臭くて気障です。でも、その気障がいいです。笑い声の裏にそういう気持ちがあると思います。やっぱりスターは気障じゃなくちゃね。
しかし、ホールとかに入るとやっぱり耳がツーんとしているのがわかります。
もうしばらくはおとなしくしとかなきゃいけないみたい。
そう言えば、この『大草原の渡り鳥』のテーマ曲、『新・仁義なき戦い』で三上寛さんがカバーしています。三上さんの歌うのも良かったです。
劇中、小林旭の使うギターは少々派手な絵入りのギター、あれはちょっと好きではないですが、でも、キャラクターにはマッチしていたかなと思います。
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