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2006/08/30

日本プラモデル興亡史

『日本プラモデル興亡史~子供たちの昭和史~(井田 博:著 文春文庫)』
読了。

戦前、模型飛行機少年、好きが嵩じて模型店を開き、そして『モデルアート』誌を創刊した著者の模型業界史であり、模型と歩んだ自叙伝であります。
私は著者と同郷でありまして、模型店を開いたのも故郷のほうです。だから、知ってる地名とかいっぱい出てきて、そういう意味でも楽しい本でした。

そう、私も模型少年でした。小さい頃はプラモデルばっかり作っていました。文房具店でプラモデルが売られていたなんて記述、懐かしいです。今の人には想像もつかないだろうなぁ。
で、模型専門店を見つけて、そこに往復2時間かけて歩いて通ったのも懐かしい思い出です。で、最初見つけたころは往復2時間だったんだけど、成長するに従い、往復時間が短くなったり。模型店のおじさん、どうしてるかなぁ。

『モデルアート』誌はその模型店で見つけて、毎月楽しみに買っていました。
でも、その模型店の常連さんの大学生くらいの大きいお兄ちゃんたちが『ホビージャパン』を購読しているという話を聞いて、背伸びしたい年頃ですから、『ホビージャパン』に乗り換えました。あのころ、『モデルアート』は模型店とか本屋さんに普通においてあったけど、『ホビージャパン』は駅近くの大きい書店にちょっとしか置いてなくて。だから、わざわざ買いに行くというのがまたモデラーのプライドをくすぐる行為でありました。

あのころ、アニメ(いや、あのころはテレビアニメはテレビマンガ、劇場アニメはマンガ映画と呼んでいましたが)のロボットとか、いわゆるキャラクターものは日陰者的存在で、模型雑誌で取り上げられたりする事はなかったのだけど。『ホビージャパン』は、そのタブーを破りました。最初は「松本零士の世界」だったかな。松本零士の戦場マンガとかに出てくる、実在の戦闘機だけど劇中オリジナルのカラーリングのものとか、劇中オリジナルの戦闘機のスクラッチビルド(キットを組み立てるのではなく、一から模型を作ること)とか、紹介されていたように思います。それから『宇宙戦艦ヤマト』も取り上げたりしてたかな。

で、ブレイクしたのが『機動戦士ガンダム』のプラモデル、つまりガンプラ特集をやるようになってから。折からのガンプラブームに乗っかり、ホビージャパンは部数を伸ばして、モデルアートとホビージャパンは立場逆転、ホビージャパンは模型店とか少し大きめの書店で手軽に買える雑誌になって、モデルアート手に入りづらい雑誌になってしまいました。

モデルアートをこしらえたのが同郷の方と今回はじめて知ってびっくりですが、ホビージャパンとモデルアートが逆転するきっかけになった、つまり、模型雑誌がキャラクター物を取り上げるようになったきっかけが、またまた同郷の松本零士だというのも模型史の皮肉でありましょうか。

著者の方はモデルアートの編集のためにいちいち上京なさっていたそうで、その熱意は敬服します。あたしなんて年に一度の帰省も大変と思ってますのに。

いや、しかし。もしプラモデル史を書くような人物が現れるとしても、それは東京とか“中央”の方だとばっかり思っていましたが。しかし、“地方”にいなが らこれだけの模型史をお書きになれるとは、本当にびっくりです。やっぱり私も知らず知らずに“地方”を馬鹿にしていたのかもしれない。

本書は『田宮模型の仕事』『海洋堂クロニクル』等に比肩する、模型史、いや“模型とは何か?”を語る上で欠かせない本だと思います。

『田宮模型の歴史』。押しも押されぬ模型業界第一のメーカー、田宮模型。その、いちメーカーから見た本邦におけるプラモデルの歴史。
『海洋堂クロニクル』。模型店からスタートし、ガレージキット(インディーズな模型)、そしてフィギュアメーカーとして押しも押されぬ立場を築いた海洋堂の物語。
そして本書。

新しく立ち上がり、開けていくプラモデル業界。その世界に身を置いて、好きな事にまっすぐで、狂気ぎりぎりの熱意をもって、その業界の“熱さ”を切り開いていく自身の“熱さ”、本当にうらやましいです。あたしもそう生きられたらと思ったりします。

という訳で模型少年だった人たちにおススメ本であります。
あたしも少々血が熱くなりました。

巻末に付録として航研機の復元、つまり1/1模型作りの記事がありました。戦前、長距離飛行で世界記録を達成した飛行機です。で、その復元は三沢の航空博物館の収蔵品とするためとか。青森出身の方が多く航研機に関わっていらしたそうで。

こりゃ見に行くしかありませんな。三沢に行って、寺山修司記念館、航空博物館、それからできたら三沢基地基地祭と3ヶ所回る旅をいつかやりたいです。

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