杉浦日向子の江戸塾
杉浦日向子の江戸塾(杉浦日向子:著 PHP文庫)
読了。
大脳生理についてのちょっと面白そうな新書を買ったんですが。いきなり「ゲーム脳」とか出てきて読む気をなくしました。別にトンデモ理論を支持しているからと言って、必ずしもトンデモ本じゃないんでしょうが。その、トンデモを支持している部分をナスのへたとでも思って取り除けて読めばいいんでしょうが。まぁ、ちょっと萎えて。
で、地下鉄の売店であわてて買ったのが本書です。
杉浦日向子さんが対談形式で江戸のあれこれを紹介してくれるという本。脚注つき、対談形式だからレイアウトもちょっと空いていて。いや、何よりも面白くて、あっという間に読んでしまいました。
対談のお相手は宮部みゆきさん、北方謙三さん、山崎洋子さん、田中優子さん、石川英輔さん、高橋義夫さん。
杉浦日向子さんの本は何冊か読んだ事があります。薀蓄を面白おかしく紹介する。面白いです。
本書もまた、目からウロコが飛ぶような知識がたくさんです。
かまどのついている長屋なんて珍しくって、庶民は七輪をみんなでまわして使っていたとか。
包丁とまな板があるなんてのはお屋敷で、長屋にはそんなの無いのが当たり前だったとか。
おかずはお惣菜屋さんで買うのが普通とか。
最近包丁がない家が増えてるとか、食事を作らずにホカ弁で済ます家が多いとか言われてますが、江戸時代でも当たり前だったんですね。
出汁入り味噌を愛用してるんですが、こういうのって最近の品と思っていましたが、江戸時代からもうそんな出汁入り味噌のインスタント味噌汁があったとか。
江戸期のファッション、“通人の黒づくし”。ひょっとしたら本邦におけるゴス系のルーツかも知れませんねぇ。
ご隠居の創った江戸文化。まぁこれもヲタクとかニート文化と引き比べられるものかなぁ。
いや、江戸礼賛はしたくないえけど。しかし、面白い時代であったろうと思いますし、江戸時代のセンスは現代にも形を変えて流れているのだろうと思います。まぁ、西洋文化的視点で現代をぶった切るだけが能じゃないかもしれない。
しかし、杉浦日向子さんが亡くなってもうすぐ1年。本当に惜しい人であります。
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