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2006/06/02

ZOO

ZOO(1・2)(乙一:著 集英社文庫)
読了。短編集です。

乙一さんの本は時々買います。文庫で買うくらいの人であります。
初めて買った乙一さんの本は『夏と花火と私の死体』だったかなぁ。
タイトルがちょっと変わっていたので手を出してみたんだけど。

ふたりの少女。好きな男の子を巡るちょっとした喧嘩で、片方の子がもう片方の子を誤って死なせてしまう。で、その死んだ女の子の死体を隠すのでどたばたするっていうお話。
なんとお話が、その死んだ女の子の、死体の一人称視点で進むという所に唸りました。

で、何冊か乙一さんの本を読むようになって。
乙一さんの魅力は。なんていうかなぁ“切なさ”とかリリカルさにあるんじゃないかと思います。それと、ちょっと奇妙な味とか。
好きな作家さんです。ただ、ハードカバーは買っていませんし、途中まで読んで積読状態の本もあります。そのくらいのファン度であります。

で、『ZOO』文庫版ですが。
同じく乙一さんの文庫版『GOTH』と同じく、ハードカバーを文庫化に際し2分冊にしてあります。ZOO 1&ZOO2と、シンプルな表紙に横文字でそのタイトルが書かれています。2001、2002とか読めてしまいます。

ZOOはその収録作の何作かがオムニバス形式で映画化されています。
公式サイトはここです。おぉ、この前劇場で見た『妖怪大戦争』の神木隆之介君が出ているようですね。レンタルで見つけたら観てみようかしらん。
で、ZOO1はその映画化された作品を、ZOO2はそれ以外の作品を収めています。
そして、ZOO1は文庫版特典として、映画版の一編『陽だまりの詩(シ)』のキャラクターデザイン・脚本・絵コンテを担当された古屋兎丸さんと乙一さんの対談が、ZOO2は単行本未収録の掌編、『むかし夕日の公園で』が収められています。

(以下ネタばれゾーンにつき)

ちょっと感想を少し。

「カザリとヨーコ」(ZOO1)
虐げられた環境。それでも、それを受け入れ、虐げている母親に愛を求める子供の感情。
う~ん、私は、人と人との関係で完全に対等な物はない、支配-被支配という要素の無い物は無い、と思っています。人間関係って、どこか不平等で、支配-被支配の要素を持ってしまうものだと思います。ただ、法律を初めとする社会システムは、不平等や支配-被支配関係を容認するもの、助長するものであっては絶対にいけないと思いますが。でも、その人間関係の現場では。そして、その不平等が、支配-被支配という要素が極端にいくと、虐待とかになって。でも、それを受け入れてしまう事があるのも人間関係というものであると思います。

「陽だまりの詩(シ)」(ZOO1)
人類が滅びたあとの物語。SFになるでしょうか。纏っている空気が好きです。

「ZOO」「SO-far」(ZOO1)
「神の言葉」(ZOO2)
セルフイメージ、そして、人が心の中に抱くイメージってのは、いくらでも自己欺瞞がきくものだと思っています。その自己欺瞞に気がついて、ツッコミを入れる人間がいない限りは。でも、極端いくと、そのツッコミを、言ってる事を、理解すらできなくなってしまって、無意識レベルでプロテクトがかかってしまって。そういう人の心の動きが確かにあると思います。某カルトの信徒さんたちみたいに。
ここらへんの人の心の動きの不思議さ、あるいは怖さ、をまた描いているように感じるのですが。

むかし住んでいたアパートの近くに居酒屋がありました。奥さんに逃げられた男が泣きながら酒を呑んでいました。「俺は優しい男なんだよぉ」と言いながら泣いていました。でも、その男がいつも奥さんを怒鳴りつけていたのを私は知っていました。アパートにいてもその怒声が聞こえていました。

「ZOO」に出てくる、「ZOO」という映像作品。死体が朽ち果てていく様を描いた映像作品、実在するようです。ちょっと見てみたいです。
ちなみに萩原朔美さんには、リンゴが朽ち果てていく様子を1年間、1日1枚づつ撮影して動画に仕立てた作品があります。それは拝見した事があるんですが。

「冷たい森の白い家」(ZOO2)
死体を積み重ねて作った家、というのが凄いです。凍り付いてる訳じゃなし、腐って壊れるんじゃないかという突っ込みは置いといて。友成純一もびっくり。

全体として。
『ZOO2』より『ZOO1』の方が面白かったような気がします。やっぱり映画化された作品とそうじゃない作品で分けるとそうなってしまうんじゃないかと思います。もちろん、作品として面白くても、映像化が困難だから映画化されなかったという場合もあるでしょうが。

いや、つまらないというわけじゃないです。面白く、あっという間に読了しました。

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