イメージフォーラムフェスティバル~2~
イメージフォーラムフェスティバル。昨日はBプログラムとCプログラムを見てきました。
ふたつとも日本作品のプログラムです。
印象に残った作品をいくつか。
Bプログラム
有機都市(中西義久)。実写の背景+CG?というアニメ。一見して町中の風景、と思いきや、電気やガスのメーターに足が生えていてもしょもしょ動いたり、 風景の奥に階段をもぞもぞ上るメカっぽいカニみたいな生き物がいたり。その動きはグロテスクで、足6本以上が苦手な方にはちょっときついかも。その、 風景に溶け込んでいるように見えて、ふと異物と気がつく感触が好きです。
鈴の名は(諸藤 亨)。CGアニメ。人物の顔の輪郭がこまわり君みたいだなぁと思ってよく見ると、口とか鼻がふたつついてたり。その、奇妙な人物の奇妙な世界での物語。
あなにやし(瀬戸口未来)。肉塊とか魚の頭とか鳥肌鶏肉頭足つきを縫い合わせた人形とか、玄牝的ぐっちょんぐっちょんを見せてくれる作品です。去年もそういう作風の作品をイメージフォーラムフェスティバルで拝見した方だと思うのですが。
Cプログラム
Dé-Sign17<Real World>(ビジュアル・ブレインズ)。Dé-Sign17イメージによるビジュアルエッセイといったシリーズ。ビジュアル・ブレインズとは、風間正さんと大津はつね さんのユニットです。毎年イメージフォーラムフェスティバルにこのシリーズを発表されています。私は全部見てないのですが、十いくつかは見ているかと思います。初期はCGを多用した作品でした。CGで描かれた、短いフレーズの文字がいくつも前後左右して動いていくさま、NHKの「映像の20世紀」でも出てきた演出、それより前にこのシリーズで拝見したと記憶しています。
そういう“モダ~ン”なCGの使い方を見せてくれるシリーズでした。しかし、最近はCGをあまりお使いでないようです。
いちどDé-Signシリーズをまとめて拝見する機会があれば面白いかと思うのですが。
W8は16ミリ(奥山順一)。奥山順一さんは映画のハードウェアそのものを遊ばれる方です。画面を縦にふたつに割って、立体視とか。映写機がぐいんぐいん動いて画像が回る映画とか。今回は古い8ミリフィルムが見つかったけど、映写機がない、だから、8ミリフィルムを2本並べて16ミリにしよう!という趣向の作品のようです。
Tide(竹内邦晶)。霧の中のような風景。霧をすかして水面のようなものがかすかに現れる。ゆっくりと、本当にゆっくりと。
たとえば私たちが月や星を見る、その時は止まって見える、止まっているものとして認識されるのだけど。だけど、月や星は動いていて。植物の成長とかもそうですね。動いている/いないと人が認識する閾値はどこにあるのでしょうか。その閾値を刺激してくれる作品です。
desktop(佐藤義尚)。パソコンのデスクトップ。今もそれを見ながらこれを書いている訳ですが。デスクトップが、フォルダとかその中身とかがアニメーションしていく作品でした。本当に見慣れた代物をネタにした作品、それがおっと思わせます。
Day Night Tower(ひらたたかひろ)。数年前、イメージフォーラムの卒展で拝見した平田さんの作品「The Trains」は本当に面白かったです。目の前を横切る電車。それが淡々と続いていくように見えて。しかし、ふと気がつくとその電車がどんどん短くなっていってると。で、姉妹には輪切りの電車が目の前をびゅんびゅん横切ってると。そういうビジュアルショックが面白かったです。
本作もTrainsと同じようなビジュアルショックの作品。東京タワーをモチーフに、青空を背景に夜のライトアップされた東京タワーだったり。しまいには夜と昼が縞模様になったり、波紋状になったり。
極私的なる多摩王の感傷(鈴木志郎康)。鈴木志郎康さんのファンであります。あの、優しい語り口。ちょっと文章で真似できないかとやってみた事があるのですが。そして、優しい語り口の奥に熱いものを感じさせて。
毎年イメージフォーラムフェスティバルには鈴木志郎康さんの新作がかかるのですが、ここ数年見損ねていて。だから、今回見られて嬉しかったです。
鈴木志郎康さんは今年、多摩美を定年退職されたそうで。その、昔の生徒さんの映像とか紹介とか。感傷でありますが、ただの感傷じゃないです、何せ多摩王の感傷ですから。何年か前、多摩美のイベントで?多摩王になった志郎康さん。パンツいっちょうにマント、王冠姿。南の国の王様といった風情。
志郎康さんは60過ぎてプログラミングを始めたり、新しい事に挑戦される方のようです。そういったところ、とても尊敬していますし、私もそうありたいと思っています。
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