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2006/04/21

ビルマ・アヘン王国潜入記

ビルマ・アヘン王国潜入記(高野秀行:著 草思社:刊)
今回の日本冒険小説協会全国大会へ行く時のお供本で、だいぶ前に読了していました。

高野さんの新刊、「ミャンマーの柳生一族」を読みました。で、その本にも触れられていましたし、関連本として本書を読んでみたくなり、購入しました。
いわゆる「ゴールデントライアングル」(本書における高野さんの解説によると、もう“トライアングル”という呼び方は適切ではないそうですが)に潜入し、阿片の原料になるケシ栽培を体験しようという、志が高いんだか低いんだか分らない動機で高野さんは“行政上”はビルマの一部であるワ州に潜入するというお話。

高野さんのブログ「MBE MBE ムベンベ」の高野さんご自身による解説はこちら

面白い本でした。

高野さんの“辺境愛”がむちゃくちゃ熱くて。「世界のシワに夢を見ろ!」(小学館)の前書きを読んで改めて気づいたのですが、本当に高野さんは“辺境愛”の人で。そこに暮らす人々にシンパシーを持っていて。清濁あわせてのありように愛を持っていて。逆に、“グローバリズム”とか、自国のエゴを振り回し、世界をのっぺりさせようとする奴、あるいはそこに暮らす人々を食い物にしている“お偉い”方々に本能的に反感を抱く人でいらっしゃって。そこにとてもシンパシーを感じます。

高野さんのどの本で読んだかは忘れましたが。
高野さんがいわゆる“危険地帯”に出かけるのを止めようとする人がいて、しかし、高野さんは。「危険地帯でも、そこに人が暮らしているなら、最低限はきちんとしたルールがあって、生きていけるんじゃないか。」というような事で、その“危険地帯”に出かけていくくだりがあって。それに感銘を受けました。
もちろん私はそういうところに出かけていく勇気は持ち合わせていないのですが。

タイトル自体は「アヘン王国潜入記」とありますが、本書の筆致はいわゆる“アングラ”本みたいな、物事のダークサイドを大仰に書きたてた本ではありません。そこにあるのは、現地としてはありふれた、“人”の暮らしでありますし。
また、高野さんは南米に幻の麻薬を探しに行ったりした事もあるようですが、本書はいわゆる“ドラッグ礼賛本”的な書き方もしていません。ただ淡々と麻薬を試し、ハマる部分ではハマっていらっしゃったみたいですが。

そうですね。本書の大半はワ族のある村で、ケシ栽培を種まきから収穫までお手伝いした体験記が占めています。それ自身はつまり普通の農業で。そして、村の人たち。良い人もいれば悪い人もいる、いや、人はなべて良い所もあれば悪い所もあるというのか。つまり、“普通”の人のありようを描いていて、好きです。

“潜入”する時、「日本人だとバレたらいけない」と忠告されていた高野さん。しかし、実際に接してみるとワ族の人々は日本という国があることすら知らない、というのも印象的でした。学校もなく、地理を教えられることもなく、もちろんマスメディアに触れることもない人々のありよう。もちろん、見識を広めることは大切な事と思いますが。でも、逆に、マスメディアのない、マスコミの眼を通さない、自分が直に見聞する範囲内での感覚というのは、今のマスメディアの情報にあふれかえった暮らしに慣れた自分にとってある意味必要なことかもとも思います。

阿片という麻薬。阿片を吸うと人は無欲になるとか。みんな阿片を吸うようになれば、阿片で幸せになれば、戦争とか“勝ち組”“負け組”なんていやな言葉もなくなるかなぁ。でも、経済は崩壊するかもしれませんがね。でも、人は“経済”の贄ではないと思いますし。いや、人はいかなる、あらゆる物の贄となってはいけないと思いますが。でも、人はその自我の安定のために何かの贄にならなければならない部分もあり、ですが。

また、ビルマの少数民族について、阿片の歴史について、書かれている部分もいいです。
ビルマは本当に多民族国家で、しかも情勢はカオス状態みたい。ビルマ政府VS(少数民族による)反政府ゲリラ、という単純な図式ではなくて。少数民族の対立もあって、そのために政府と繋がっている少数民族もあって、いちがいに“少数民族の反政府ゲリラ”という言い方もできないみたい。また、ワ族は首狩りの風習もあったそうで、そのせいかワ族の兵士たちは勇猛果敢だそうです。

本書には巻頭に数ページ写真ページがあります。あちらで良くあるようですが、女性の黒い民族衣装が素敵です。GFでもできたら着せてみたいぞ、と。いや、できる当てはありませんが。
男性は軍服っぽい服が多いです。銃を携えた兵士の写真もありました。私ももう詳しくはないんだけど、制式の銃はSKSシモノフカービンかなぁ。中国でも作っているそうですから、中国製かと思うのだけど。AK47シリーズではないのかな?AKだとフルオートで弾をたくさん使うからお金がたくさんかかってやっぱりゲリラにはきついのかなぁ。
一枚だけ、市場でM16を方から下げた兵隊さん?の写真がありました。M16は米軍の銃で、米軍の衛星国家でも使われていますが。どこからやってきた銃でしょうか。下手するとベトナム戦争流れかも。しかし、弾はどうしてるのかなぁ。中国あたりで5.56X45は作っているのでしょうか?

ああしかし、本当に私も体験してみたいと思う本でありました。
いや、絶対に行くことはないと思いますが。

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