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2006/02/19

ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム

昨日は渋谷のシアター・イメージフォーラムへ。かわなかのぶひろ先生のお勧めで、かねてから観たかった「ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム」を観に。

去年の12月末から公開されていたのですが、ちょっとお尻が重くて行っていませんでした。
実は、私はボブ・ディランの事を名前くらいしか知りません。アメリカン・フォークの大御所、神様レベルの人だってことくらいしか。そういう奴が観て楽しめるかなぁというのが観に行くのをためらった理由のひとつ。もうひとつは3時間半という長尺の作品であるということ。ボブ・ディランのファンじゃない私、下手すると退屈したまま3時間半延々と座ってなきゃいけない。

シアター・イメージフォーラム、63人の定員でお客さんは7~8割程度の入りだったでしょうか。しかし、隣の席を荷物置きにしている客が多いです。充分空いているのならかまわないと思いますが。しかし、席を探しているお客さんが、荷物置きにしている席を「ここ空いていますか」と聞いても断る人もいました。そんな奴ぁチケット2枚買え、2枚!その断られたお客さん、私の隣が空いていたので手招きして座ってもらいました。シアター・イメージフォーラムの席はゆったり目で、私みたいなデブでも楽なんですがね。カバンと脱いだコートを膝に乗せても楽に座れます。

しかし、ね。その席を荷物置きにしていたお客さんは、ちょっと個性的で、いい感じの初老のご夫婦でした。たぶん、ボブ・ディランのリアルタイムのファンなのでしょう。ボブ・ディランは青春だった人なのでしょう。そういう人ですら、周りへのちょっとした思いやりをなくしてしまう。なんて時代なのでしょうか。

3時間半の映画ということで、いちばん気になるのはオシッコ。同じく3時間を越える作品「地獄の黙示録・特別完全版」を観に行った時は途中で催してきて、いまいち映画に身が入りませんでした。予告編の最中に思い出してあわててトイレへ。私もハタ迷惑な奴ではあります。

映画の感想。結論から先に言えば、3時間半、楽しめました。最後のほうはさすがにちょっときつかったですが。

映画の内容はボブ・ディランをはじめとする人々のインタビューに、当時の映像・音源が挟み込まれるというスタイル。ボブ・ディランのファンではない私も楽しめる、そこらへんの編集のテンポというかリズムというか、さすがマーティン・スコセッシであります。スコセッシの「タクシー・ドライバー」は我がココロの映画。と言っても他の作品は拝見していないのですが…。

作品はだいたいボブ・ディランの出生から60年代の活動までを語っています。60年代、“熱かった”時代。プロテストソングを歌っていると目されていて。しかし、政治団体に取り込まれそうになると強烈に違和感を感じて、離れてしまう。そういうところ、いいと思いました。

スタイル。ボブ・ディランはトラディショナルなアコギベースのスタイルから、エレキギターを入れたバンドスタイルを取り入れます。当時、ライブだと前半アコギ弾き語り、後半エレキギターバンドというスタイルだったそうです。で、そのエレキギターが当時のファンに強烈に反対されたようです。後半になると退出するお客さんがいて、その人たちへのインタビューも入ってます。もう罵詈雑言の嵐。

しかし、ブーイングをし、気に入らない演奏だと退場する客さんたち。真剣に対峙しているのだなぁと思います。私はライブハウスに行ってもブーイングとかしたことないし。あまり楽しめなかった演奏でもとりあえず拍手するし。くたびれていた時以外、あまり入れ込めないライブでも、「入場料もったいない」と思って退出したりしないし。

そう言えば。双葉双一さんのライブで、いつもはアコギの双葉さんがエレキギターを取り出して「不良の楽器」と言って弾き始めたことを思い出します。三上寛さんはエレキですが、それにぜんぜん違和感はありません。もう今はスタイルの多様性は受け入れられているのでしょうか。あのころはまだアコギだのエレキだののスタイルに大きな隔たりがあったのでしょう。しかし、それでも、わが道を往くボブ・ディラン。かっちょいいです。

本作に収められたインタビュー、ライブ映像とか音源とか、ボブ・ディランのファンなら「おぉっ」と思うものがたくさん入っていると思います。それはぜんぜん私には解りません。しかし、そういった音源、楽しみました。ボブ・ディランや他のヴェテランミュージシャン、音楽に関わってきた人たち。そういった人たち、とてもイイ顔をしているなぁと思いました。私も歳をとって、そういう顔を持てるようになったらいいのですが。

いい言葉もたくさんあったと思います。ここに書き連ねようと思ったのですが…。忘れてますねぃ。ただ、ひとつ、「師を超える弟子がいない師は師の座にいるべき人物ではない。」というような言葉があって、いちばん印象に残りました。

そう、“歴史”とか“伝統”という視点をインタビューの登場人物の多くやこの映画は持っているかと。たぶん、今、日本でいちばん欠けている視点かと。オリジナリティーばかりありがたがられていてね。すぐ「○○は△△のパクリ」と言って喜ぶ連中ばかり…。どんな作品も歴史、つまり過去の作品の延長上にあるものなのでしょうが。

という訳で「ノー・ディレクション・ホーム」楽しみました。おススメであります。

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