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2006/01/20

シャドウ・ダイバー

060120







シャドウ・ダイバー-深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち-
(ロバート・カーソン:著 上野元美:訳 早川書房:刊)

これも去年読了していた本です。ノンフィクションですが、フィクション以上に面白い、凄い本でした。
ダイバーがアメリカ合衆国・ニュージャージー沖で第2次世界大戦中に沈んだらしいドイツ軍のUボートを見つけ、その謎を解き明かすというお話です。

昔、学生だったころ、海を相手にする仕事に就きたかったです。ヘタレで諦めてしまいましたが。そして、スキューバのライセンスを持っていました。なぜだか。
まぁ、スキューバダイビングをやるならそこそこの収入と、ある程度は自由になる時間と、それから少しは鍛えた体を持ってないとできないと思います。残念ながら私は全部持っていません。だから、ダイビングは諦めました。
でも、講習で潜った海中の風景はとてもすばらしいものでした。今でも潜りたいなぁと思うことはあります。

講習の時、「沈没船を潜って探検するのって楽しそうですね。」と講師の方に言ったら、「とても危険だよ。」と言われました。そう、本書ではその危険な沈没船探検をやるダイバー(レックダイバーと呼ぶそうです)の世界が描かれています。

そしてまた、元・ミリタリーマニアではあります。モデラー時代は第2次世界大戦中のドイツ軍の軍用車両を作りまくってました。Uボートのプラモも作ったことがあります。一人暮らし、アパート暮らしを始めてからはプラモ作りは無理になったので、それからはモデルガンとか軍装品を集めるようになりました。軍装品コレクションになるとお値段がむちゃくちゃ高い第2次世界大戦ドイツ軍物には行かなくて、ベトナム戦争中の米軍物を集めるようになりました。まだコレクションを始めたころは安かったし、なんと言ってもベトナム戦争は子供心に強烈でした。昭和40年代の文化とか風俗、そしてアングラもベトナム戦争抜きには語れないものと思っています。

閑話休題。
だから、本書もUボートが出てくるのでとても興味深かったです。映画「Uボート」も大好きだし。作中、Uボートを発見したダイバーが「Uボート」のオープニングシーンが思い浮かんだというシーンは大きくうなづきました。
そして、作中登場するダイバーのひとりがヴェトナム戦争に従軍してるんです。最初は朝霞の米軍病院勤務、後に志願してヴェトナムの戦場で衛生兵として従軍したとか。朝霞の米軍病院はヴェトナム戦争中、もっとも重傷な負傷兵が送られたと聞きます。

そういう、とても興味深い世界を描いた本でしたし、「これがノンフィクション!?」と思うほどドラマチックな本でした。

しかし、レックダイビングの世界。死と隣りあわせで。本書でも数名のダイバーが命を落とします。こういう死と隣り合わせのスポーツの世界で生きるって、どういう感じなんだろう。例えば高度な登山とかモータースポーツとかもそうだと思いますが。
ある山岳冒険小説の冒頭の雪山行のシーンで、仲間の死が淡々と描かれていて唸った経験があります。いや、反感じゃなくて。むしろ、そっちの方が正しいような気がして。

そしてUボートの乗組員たち。1000トン少々の排水量の潜水艦でヨーロッパから厳重な警備をかいくぐり、敵国の米国沖まで進出する。そのガッツも凄いと思います。ヘミングウェイがカリブ海でUボートを探す自警団を作ったとかいう話。そして、ウディ・アレンの「ラジオ・デイズ」でニューヨークに住む少年たちがUボートを探しに海に行き、ほんとだったのかどうか、まるで幻影のように彼らの前にUボートが現れるくだりとか思い出しました。そしてもちろん映画「Uボート」も。

彼らが見つけたUボートは記録にないUボート。彼らはそのUボートの手がかりを求めて潜り、そして、あらゆる伝手をたどってそのUボートの正体を明かすための資料を探します。
しかし、彼らは、Uボートを調査する時、あるひとつのルールを自分たちに課し、それを厳密に守って潜ります。その誇り高さも素晴らしいです。逆に、そこまで行く人たちじゃないとこの困難な調査を成し遂げられなかったのかなぁとも思います。

「シャドウ・ダイバー」まがうことなく大おススメ本であります。
日本冒険小説協会大賞・外国軍は本書を1本買いしたいです。
会則には、投票対象は「おもしろ本」とありますから、ノンフィクションでも大丈夫だと思いますが。

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