世界のシワに夢を見ろ!
世界のシワに夢を見ろ!(高野秀行:著 小学館:刊)
だいぶ前に読了しました。“辺境ライター”高野秀行さんの新作であります。
「世界のシワ」とは?
今、世界の中心はアメリカである。政治も、経済も、文化もみんなそうだ。いわゆる「グローバリゼーション」という奴だって、素直にアメリカナイゼーション(アメリカ化)と呼んでほしいものだ。(中略)
アメリカ化が進むと、世界はのっぺりする。
イメージで言えば、先進国と大都市を中心に、みんながせっせと大地にアイロンがけをしているようなものだ。どこも同じように清潔で快適でおしゃれで便利になる。では、アイロンがまだ行き届いてないところはどうかと言うと、これはしわくちゃだ。昔からシワだらけだったのが、さらに中央部からの、まさに「シワ寄せ」を食らっているからたまったもんじゃない。そういう世界のシワみたいな地域は「辺境」とか「僻地」と呼ばれる。山あり谷あり、病気あり内戦あり、犯罪あり非常識あり、怪獣あり野人あり、とたいへんなのだが、なぜか私はそういうシワ地帯が好きである…(「はじめに」より)
という事であるそうです。
本書は漫画誌「ヤングチャンピオン」に連載されていた物をまとめたもの。
日本国内からアフリカ奥地まで、高野さんが遭遇した色々なエピソードを集めたもののようです。面白おかしく書いていますが…。いや、現場だったらかなりきつい目に遭った事になると思います。
そう、世界各国の辺境を訪ねる高野さん、とても憧れますが、でも、高野さんのいろんな本を読むにつけて、私はそんな旅はできないなぁと思うことしきりです。そういう目に遭ったら、私だったらパニックを起すでしょう。命を落とすかもしれない。いや、そういう目に遭いそうだってだけで、そういうとこに出かける勇気はありませんが。いや、だからこそ、こういう本をお話として楽しく読むのかとも思います。
そうです、本当に楽しい本です。
そして、思うのですが。
いくら出かけていく先が危険な場所でも、「そこに行くのはやめとけ」と警告されても、それは人の住む土地。そこに人が暮らしている場所なら、最低限の秩序はあって、そこに行って、生きていく事はできるのではないかと。そして、“人”の暮らす場所、機微があるのではないかと。そこに住む人の人情もあるのではないかと。だからこそ、高野さんも、そこに行ってこられるのではないかと。そう思います。
「世界のシワに夢を見ろ!」大おススメであります。
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