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2005/05/23

ないしょのつぼみ

050523ないしょのつぼみ1(やぶうち優:著 小学館ちゃおコミックス)
某所で話題になっていたので買ってみました。ちなみにアマゾンでは数日前まで、増刷されるまで品切れで、転売屋が4百円くらいの定価に千円位のプレミアを乗せていたようなコミックスです。私は某所の穴場と思っている書店で買いました。初版でした。

作者のやぶうち優さんのサイトはhttp://www.dab.hi-ho.ne.jp/yabuuchi/です。

小学館の小学5年生に連載されていたコミックスとか。小学5年生の女の子を主人公に、愛とか性について書かれたコミックスだそうです。
読んでみましたが。やぶうち優の絵は、かわいいけど、幼すぎて、私にとってはあまり萌えとかいう絵柄ではなかったです。
あと、がちがちのリアル志向ではなく、ミステリアスというか、ファンタジックというか、そういう部分も加味されていて、面白いです。

小学館の学年誌、私は小学1年生から6年生まで買ってもらってました。本誌も楽しみだったけど、付録が楽しみでした。付録の紙細工をこしらえるの、楽しかったです。今でも作ってみたいなぁとか思うこと、あります。

本作は小学5年生の連載だったようですが。私の頃も小学5年生か6年生あたりから愛とか性に関する物語があったような記憶があります。私の頃は漫画じゃなくて読み物でした。まだ漫画より活字の方ががありがたかった、まじめな話なら活字、の時代ですね。だから、小学5年生で愛とか性を扱ったコミックスが掲載されていると聞いても、あまり違和感はなかったです。

本作では小学5年生になる女の子が、お母さんの妊娠を告げられるお話から始まります。そして、気になる男の子ができるとか、ファーストブラとか陰毛、そして初潮とかいった第二次性徴の話とか、そういったのが描かれています。まぁ、色気づき始めた小学生の懐かしいというかこっ恥ずかしいというか、そういうお話。それはあの頃の私もそうだったし、違和感ありません。

ただ、小学生でもう付き合っているカップルとかあって、キスシーンとかあって。そうかぁ、いまどきの小学校高学年とかそんなのありなんだなぁと思いました。
小学校高学年の頃、そうですね、私も気になる女の子はいました。もちろん、何もなかったのだけど。授業中とかその子のことをちらちら見たり、それだけでした。今でもその子がどうしているか考えることもありますが。今頃はそれこそお母さんになって、子供に小学5年生とか買い与えているかもしれません。私だって普通なら小学5年生とかもっと大きい子供がいてもおかしくない歳か…。

本作では、医学的というか生物学的というか、性についての詳しい解説はありません。最近の性教育はかなり“進んでる”そうですが。でも、主人公の女の子が、生理については知識があるのだけど、「おりもの」については知らなくて、自分の「おりもの」についてなんだか判らずに悩むシーンがあります。もし、今時の性教育が生理について、そして性交や妊娠・出産についてまで教えていても、「おりもの」について教えていないのであれば、おかしいんじゃないかと思います。つまり、今時よくあるのだけど、パフォーマンス志向というか、現実は見ずに、つまり、生身の、「第二次性徴が始まった女の子のための」、という視点がなくて、頭で変な思想をこねくり回したのをそのまま出しているというか。今時の“進んでる”性教育はね。

そう言えば昔、小学生か中学生の頃、ある公演で夢精が付いたパンツの洗い方なんて話を聞いて、感心したことがあります。その年頃の男の子にとってはそういうの、大事な話だし。妊娠がどうとか性交がどうこうとか言う前にね。

恋愛について。
本作では、主人公に好きな男子ができて、言い出せずに悩むけど、やっと告白できて、そして、その相手の男の子も実は彼女が好きで、だから、告白してそのまま恋愛関係、キスして、という風に話はうまく進んでいきます。それだったらいいんです、別に。幸せにおやりなさいなと思うし。あと、ふたりはセックスに進んでいくのかもしれませんが、そうなっても妊娠と性病に気を使えばいいのでしょう。それは技術上の些細な事だと思うし。今時の子供はセックスできる体になるのはいくつぐらいかは知らないけど、できるようになったらしてもいいのかとも思います。あとは当人と周りの人たちのモラルの問題だけど。そして、もし小学生同士のセックスがいけないというのであれば、まず、恋愛資本主義を作ったこと、恋愛を商品化し、それ故に恋愛市場の拡大をもくろみ、小学生まで巻き込んでしまった大人たちこそ責められるべきであると思います。

ただ思う事は。

フライトシミュレーターを遊んだりします。飛行機を離陸させるのって、簡単です。エンジンを吹かして、一定のスピードを超えたら、操縦桿を引く。それでやすやすと離陸できます。でも、進路を保って飛ばしていくのは大変です。そして、着陸するのはもっと大変です。そして、本当の飛行機の操縦だったら、進路の間違いとか着陸の失敗は大惨事を招きます。
恋愛だって同じ事じゃないかと思います。恋愛を始めるのはたやすいでしょう。片思いの告白ぐらいちょっと勇気があればと思います(とても大変な、勇気の要る事なのは理解できますが、私だって…)。
でも、恋愛関係を続けていくのは、そして、悲しい事だけど、恋愛関係を終わらせるのは。

大人だって難しいそのことが、小学校高学年くらい子供にできるかしら?

自分が愛している相手が自分の事を好きになってくれなかったら?自分が誰にも愛されないと感じたら?自分が恋している相手がほかの人が好きだとわかったら?ほかの人と付き合ってるとわかったら?その相手が自分の親友だったら?好きでもない相手に告白されたら?付き合っていたけど、飽きたら?付き合っている他に好きな人ができたら?相手が二股かけてたら?自分が二股かけたら?同時に恋人がふたりいるのって許されるの?相手がセックスだけを求めているらしいと思ったら?そして、恋愛感情がなくなってさめて別れたくなったら?望まない妊娠をしたら?etc…。
そういった恋愛関係のトラブル。思い余って殺人とか自殺にも至る関係で。
今、この瞬間にも、世界のどこかで、恋愛関係のそういったトラブルで悩んだり苦しんだりしている人間がいると、断言できます。数十万人、数百万人、いや、数千万人はいるかもと思います。
それに本作は答えていません。子供たちの愛や性について考えたり教えたりするマンガなら、むしろそっちを描くべきかもと思います。

繰り返しますが、恋愛がうまくいくのなら何の問題もないと思うのです。小学生でも恋愛しても、そして体ができているのなら、体を傷つける恐れがないなら、セックスもいいんじゃないかと思います。もちろん、モラルの問題はありますが。

むしろ教えるべきは、恋愛がうまくいかない場合、どう耐え、どう対処するかという事だと思います。だから本作は小学生の性とか恋愛を思い切って描いていると思いますが、でも、その、トラブルに対する事を描かれていない部分において、突っ込みが足りない、学年誌として必要とされる事を教えていないと思いますし、がんばって、そこまで行って欲しいと思います。「恋愛とは何か?」は、人類永遠の謎ではありますし、安易に答えが出せるものではないですが。

もちろん、そういった事を教えるのは、雑誌の使命ではなく、子供の周りの大人たち、両親とか教師とか、親類縁者、周りの大人たちが、自分の価値観と経験に照らし合わせて、子供たちに教える。子供たち自身も自分の価値観と経験を加味してそれについて考えてみる、そして、傷ついたり、傷つけたりして経験を深めていく、そうすべきことだと思いますが。

最後に、本書の好きな台詞から。
恋って、ほんのふとしたきっかけかで始まるよね。
たとえば、たまたま席が近かったりとか、
話す機会がほかの子に比べて多かったりとか、
そんな小さな偶然が重なると、
簡単にスイッチが入る…。
それはね、きっと私たちが生まれたときからそんなふうに…、
だれかを好きになるようにできてるからなんだよ。

こういう台詞を書ける、作者のやぶうち優さん、好きです。

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