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2005/04/15

唯幻論

今、岸田秀の『ものぐさ精神分析』(中公文庫)をちびちびと再読しています。
本田透さんの『電波男』を読んだあと、再読しなきゃなと思いましたので。
いや、岸田秀を読み始めたきっかけが本田透さんのサイト、『しろはた』だったのですが。

『電波男』を読んでから『ものぐさ精神分析』を読むと、『電波男』のかなりの部分が岸田秀の考えに基づいて書かれているのが分かります。
いや、『電波男』も『ものぐさ精神分析』もどのくらい私は理解しているのか判りませんが。

岸田秀の考えを簡単にまとめると(いや、ほんとにどれだけ自分が理解しているのかは不明ですが)、
まず、大前提として「人間は本能の壊れた動物」であると。普通、動物なら、その動物みんなが持っている“本能”に従って生きていれば、まぁ、問題なく生きられるわけですが。しかし、人間は本能が壊れている故、そういう生き方はできない。
本能が壊れているが故、人は現実から離れた“幻想”の中に生きている。しかし、てんでんばらばらの“幻想”では、社会を作り、生きてゆけない。そこで、その“私的幻想”から共同化できるものを抽出して“共同幻想”を造り、擬似現実を造り、それによって社会を作り、生きてきた。しかし、“共同幻想”からこぼれた“私的幻想”は各個人の中に抑圧されていて…。
こんな感じかなぁ。
ここらへん、岸田秀ももっと読んで、吉本隆明も読んどかないととも思うのですが…。

んで、恋愛も岸田秀によると共同化された幻想である、と。ヒトは本能の壊れた動物だから、本能に従ってセックスをし、子供を産み、育てる事はできない、と。だから、共同幻想として、男女の恋愛、“正常な”セックス-つまり、男女の性器の結合としてのセックス、そして、長期にわたる子育てに耐えるための安定した男女関係としての夫婦、そして母性愛、父性愛を発明した、と。

そこで『電波男』では、その“正常”な男女間の恋愛も、二次元キャラクターとの“恋愛”も、幻想である以上等価である、と。そういう事ではないかと思います。
ネットを巡回して時々見かけますが、「そうして男女がセックスしなくなると、人類は滅びるんじゃないか?」という『電波男』に対する疑問を見かけます。そういう物言いを読むたび、私は苦笑します。
人類、滅びたっていいじゃない。

この地球上じゃ、たくさんの種が栄枯盛衰を繰り広げてきました。人類だってその栄枯盛衰する種のひとつじゃない?人類が永遠に栄え続けるなんて事なんて考えられません。
ただ、私は、その滅亡が、戦争とか、大災害とか、気候の急変による飢餓とか、疫病とか、大きな苦痛を伴うものではないことを望んでいます。出生率の減少による“自然な”人口の減少、その先の人類の滅亡は受け入れられる滅亡の形かと。それにだいたい、世界規模で言えばまだ、“自然な”セックスをして子供を産み、育てる人口の方がはるかに多いし。
それに、人口の減少は根本的な意味でほんとのエコロジーだと思うし。今時の商品化された、免罪符のような、似非エコロジーよかよっぽどほんとのエコロジーです。

いや、しかし…。

出生率の低下は日本じゃ社会問題化していて。お上も対策にやっきになっているみたいですねい。
『電車男』ブーム。なんで何誌も競って漫画化されたり、舞台化されたり、映画化されるのかなぁ?どっか仕掛けてるんじゃないの?だいたい何誌も漫画化するなんて、普通ないでしょ。今まで出たどんなベストセラーでも。
そして、数年前の出産本・育児本ブーム。ガキをこさえたタレント、漫画家、モノ書きが猫も杓子も争って出産本・育児本を出したあの現象。あれも仕掛けがあるんじゃないかと睨んでいます。
まぁ、お上は出生率低下、そして、ニート対策に躍起になっていて。電車男ブームも出産・育児本ブームも捏造されたと思っています。妄想だろうけど。

そんな中で、その動きと真っ向から対決する『電波男』を上梓された本田透さんは凄いと思っています。大丈夫かなと心配してもいます。
しかし、悪いのは、本田透さんとか、『電波男』に感動した(私も含む)恋愛弱者じゃないんよ。

悪いのは、世の中がこうなってしまった原因は、消費の拡大をもくろんだ挙句、“恋愛”まで商品化し、恋愛資本主義社会にまで行き着き、たくさんの疎外者、恋愛弱者、あるいは恋愛にうんざりした人々を生み出したこの消費社会にあります。
はっきり言って自業自得です。そして、その、恋愛に関してだけではなく、いろんな意味を含めて、“行き着いて”しまった消費社会の自業自得ぶりには見て見ぬそぶり(目 潰シテシマエ)、それに付け焼刃で少子化対策、ニート対策をとろうとする政財界のお偉方のやり口は笑止!であります。

いや、正確に言えば“恋愛”そのものは商品じゃない。プライスレスなもの。しかし、プライスレスだからこそ“恋愛”に関わる消費が際限なくなるわけで。
そして、消費につながる恋愛こそいい恋愛。相手をとっかえひっかえする。とっかえひっかえするたびにプレゼントとか旅行とかでお金を使ってくれるからのオッケー、不倫も、プレゼントや若作りの化粧品とか服、不倫旅行で消費につながるからオッケーてな具合になってきて。そして、そういうのが、“自分らしい”生き方を探してるって事になってオッケー。

もちろん、一生を共にできる相手を見つけるためにいろんな異性と付き合うってのはアリでしょうが…。でも、そういうのじゃなく、刹那的というか、期間限定的な付き合い、つまり、今の若い人は恋愛を“消費”しているような気がします。
恋愛弱者とか、今の恋愛状況にうんざりした人の方が、きちんと生涯のパートナーを求めているような気がします。
私?私はどうだろう?今のところ、誰かと一緒にいると心からは寛げません。一緒にいて心から寛げる相手は、女性にも、男性にも、そして、肉親にもいません。そういう人が現れるかどうか、解りません。

何が書きたかったのかな?
とりあえず閑話休題。

いや、ぜひとも岸田秀がオタクについて、引きこもりについて、現代の“恋愛”について、そして『電波男』について書いた物を読んでみたいと思っているのです。
あるのかな?もっと読まなくちゃね。

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